DYNAMICAUDIO 5555/5F/諸石

H.A.L's 「M」 Recommendation!

VOL.5

 「K-03」
SACD プレーヤー

K-03
ESOTERIC 「K-03」
定価:¥840,000 (税込)
 
“ESOTERIC”― それは国産のメーカーですが、世界的にもその実力は非常に認められています。

それはどういう所でか、と言うと“CDプレイヤー”に尽きると思います。
勿論アンプや、近年では高音質SACDソフトを発売するなど“Disc”というメディアにも目を向け、大事にしているという点でも好感が持てて、頼もしい限りなのですが、 何と言っても、ESOTERICと言えば“CDプレイヤー”、そしてそれが誇るものは「VRDS」というメカにあるのではないでしょうか。

そして、昨年9月の「K-01」、「K-03」の発売も楽しみにされていた方も多いのではないでしょうか。
位置付け的には、7年前に発売した「X-01」、「X-03」の後継機に当たりますが、その内容は当然、各部大きくブラシュアップしている部分も多く、ESOTERICの製品にかけている本気が見えます。

それでは、「K-03」の説明に入らせて頂きます。

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≪スペック≫
  • 再生可能ディスク:スーパーオーディオCD、CD(CD-R/CD-RW対応)
  • アナログオーディオ出力:RCA×1系統、XLR×1系統
  • アナログ出力インピーダンス:RCA⇒47Ω・XLR⇒100Ω
  • 最大アナログ出力レベル/1kHz、フルスケール、10kΩ負荷時
      :RCA⇒2.45Vrms・XLR⇒2.45Vrms(0dB設定時)
  • 周波数特性:5Hz〜55kHz(-3dB)
  • S/N比:115dB
  • 歪率:0.0015%(1kHz)
  • デジタルオーディオ出力:同軸デジタル出力 (RCA)×1系統 / 0.5Vp-p (75Ω負荷時)
  • デジタルオーディオ入力
      :RCA×1系統 (入力インピーダンス75Ω) / 0.5Vp-p
       光デジタル×1系統(−24.0〜−14.5dBm peak)
       USB-B端子×1系統(USB2.0準拠)
  • ワードシンク入力端子:BNC×1系統
  • ワードシンク入力可能周波数:44.1kHz、88.2kHz、176.4kHz、10MHz(±15ppm)
  • ワードシンク入力インピーダンス:75Ω
  • ワードシンク入力レベル
      :矩形波⇒TTLレベル相当、サイン波⇒0.5〜1.0Vrms(50〜75Ω)
  • 電源:AC 100V 50/60Hz
  • 消費電力:27W
  • 外形寸法(W×H×D):445mm×162mm×438 /mm(突起部含む)
  • 質量:28kg

※その他、製品詳細はメーカーサイトをご覧下さい。

分かり易く抜粋して、「K-03」の特徴をご紹介致します。

VRDS-NEO『VMK-3.5-10』搭載

VMK-3.5-10 「X-03SE」に搭載されたメカニズムのコンストラクションを踏襲したVRDS-NEO『VMK-3.5-10』を搭載。 また、SACD/CDに特化した全く新しい駆動回路設計の採用により、滑らかで高精度なサーボ制御を可能としています。 ステレオ再生に特化し(DVD系ソース、マルチチャンネルソース用のDSP回路などを排除)、よりピュアな再生能力を獲得しました。

デュアル・モノDAC搭載

上級機「K-01」を踏襲したデュアル・モノDAC。
左右のチャンネルごとにセパレートしたアナログオーディオ基板にDACを積み、左右同一レイアウトで配置しています。
チャンネルあたりパラレル(並列)/ディファレンシャル(差動)4回路構成で、圧倒的な高リニアリティーと低ノイズを実現しました。
D/Aコンバーターのデバイスの選定には膨大な開発期間を掛けて試聴を繰り返し、旭化成エレクトロニクス社の32bit最上位モデル「AK4399」を採用しています。
電源部もアナログオーディオ回路専用の大容量トロイダルトランスを搭載。 トランスポート部とは別電源構成による理想的な電源供給能力とあいまって優れたチャンネル・セパレーションを誇り、定位感と奥行き感に富んだ高品位な再生を可能にしています。

D-01を踏襲した高品位アナログ回路

 ・ディスクリート・バッファー回路
 高電圧で夏±22V電源で高いドライブ能力
 ・XLR:フルバランス構成
 ホット/コールドの信号ラインごと左右対称に
 バッファーを搭載
 ・RCA:パラレルバッファー構
 2つのバッファーをパラレル駆動


高精度クロック回路

高精度クロック 〜VCXO高精度クロック回路〜
±0.5ppm高精度VCXO
 VCXO=電圧制御型水晶発振器。
音質に有利な大型水晶を内蔵。
クロック回路を刷新
 高精度クロックをPLL回路を経由せず、
 ストレートにDACに供給。
専用安定化電源回路
 回路動作の安定化を高めています。

ワードシンク機能

44.1/88.2/176.4kHz入力
 マスタークロックジェネレーターとの接続。
10MHz入力
 セシウム、GPS・・・etsに対応
ロックレンジ±15ppm
 同期出来るロック精度を限定する事で、ワードシンク機能を更に高精度化。

3系統(USB/OPTICAL/COAXIAL)のデジタル入力

デジタル入力端子192kHz/24bit対応
 スタジオマスター・クオリティの音楽データも再生可能。ハイサンプリング・ソース用の単体DACとしても威力を発揮します。
アシンクロナス対応USB
  ハイスピード1(アシンクロナス伝送) 192kHz/24bit
  ハイスピード2(アダプティブ伝送) 192kHz/24bit
  フルスピード(アダプティブ伝送) 96kHz/24bit
USBアイソレーター
 USBの電源/信号ラインを本機からアイソレートし、PC本体などからの外部ノイズを防止。

D/Dコンバート・デジタルフィルター

DSD、PCMの各フォーマットをそのままストレートにアナログ信号へ変換するモードのほか、2倍(64/88.2/96kHz)/4倍(128/176.4/192kHz)のPCMアップコンバート機能、 PCM→DSDコンバート機能を搭載しています。

≪デジタルフィルター≫
1)FIR(2種類)
定評ある従来型FIRフィルター
2)SHORT DELAY(2種類)
プリエコーをカットした自然な音質
3)デジタルフィルターOFF


≪D/Dコンバート機能≫
1. CD/外部デジタル機器からのPCM 信号
オリジナルFs(32/44.1/48/88.2/96/176.4/192kHz)
アップコンバート:2倍(64/88.2/96kHz)/4倍(128/176.4/192kHz)
PCM > DSD コンバート
2. SACD のDSD 信号
DSD ネイティブ再生


「X-03」メカのシリーズでは初搭載となる機能です。
CDのPCM信号もDD回路も豊富ですので、好みの音色で楽しむ事も出来ます。
CDに限れば“DF OFF”で“Digital Out OFF”がメーカー推奨との事ですが、確かに一番“らしさ”が出ていると思います。

優れたユーザビリティー

32bit高精度ボリュームアッテネーター
 幅広いビットレンジを生かした「ビット落ち」の無いボリュームを採用。
 パワーアンプにダイレクト接続可能。複数のデジタル入力セレクター機能と組合わせて
 「デジタルプリメインアンプ」的な使い方が可能。
XLRピンアサイン変更(2番/3番HOT)
XLR出力レベル切替(0dB/+6dB)
 アンプの入力感度に合わせて切替可能。
アナログ出力設定(XLR/RCA/OFF)

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さて試聴ですが、当フロアのメインシステム、LUXMANのセパレートアンプ「C-600f」+「M-600A」の組合せで、スピーカーはWilson Audio「Sophia3」。
設定は「PCM→DSD」のアップコンバートで「デジタルアウト‐OFF」、「デジタルフィルタ‐OFF」です。



全体的にスケールを広く出し、分解力が非常に良く、情報量も多く聴き易く、非常に安心して聴けます。
もちろん基本的には、Discの読み取り精度の高さで誇る“VRDSメカ”の力が大きいのは分解力に表れているのでしょう。 それは各種設定を変更しても「基本的な質の良さや音は変わらずに表情が変わる」と表現した方が分かり易いかもしれません。
今までの“ESOTERICサウンド”の印象と言うのは、非常に精密で情報量が多く、輪郭のしっかりした音ですが、それが逆に様々な製品と比べた時に硬さを感じる事もありました。
P-05,D-05の辺りから、その元々の良さに加え良い意味での柔らかさも兼ね備えるようになったと思います。
それは“05シリーズ”から培った、旭化成エレクトロニクス社の32bit最上位モデル「AK4399」の要素も非常に大きいと思います。 05で使い始め、新たなDACチップ以上に32bitDACチップに可能性を感じ、その能力を使いこなして来ているのでしょう。
VRDSの良さは全面にスケール感良く繊細さなども溢れています。

個人的には「K-01」は「K-03」以上の能力を持ち、更に“凄み”を感じますが、どのシステムにも組合わせられ、耳当たりも柔らかくなった「K-03」にも、 大きな好感とバリエーション以上の存在意義を感じます。
またK-03もK-01と同じく、MODEボタンで変更可能な各種設定が豊富なのも、様々な製品と組合わせて使う場合など、自分のシステムを更に好みの方向へ近付けたり、 あらゆる状況に対応して変更出来る使い勝手の良さで貢献するでしょう。

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MODE切替はフロントのMODEボタンの長押しで設定します。リモコンを使用せずに各種設定を変更出来るのも使い勝手が良いです。
MODEにはXLRの2,3番/HOTの選択やゲイン切替、出力音声の切替、ディスプレイの点等調整、アップコンバート切替、デジタルフィルターの切替、WORDのON-OFF切替、 ATT(アナログアッテネーター)のON-OFF、USB入力時の設定・・・等、ユーザーライクな機能が色々あります。

デジタルフィルターは4種類(FIR型デジタルフィルター2種類・ショートディレイ型デジタルフィルター2種類)から選べます。これが大きく変化を見せますので、お好みや音楽によって「K-03」はその表情を変えます。
個人的には、CDに限れば「デジタルフィルターOFF+デジタルアウトOFF+PCM→DSDアップコンバート」で聴かれる事をお勧め致します。
またデジタルフィルターを経由しないデジタルフィルターOFFモードも用意。お好みに応じて選択することが可能です。

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設定の中には“ワードシンク機能”もありますが、これは是非ともESOTERICユーザーの方には試して頂きたいものです。
クロックの効果というのは、ESOTERICプレイヤーの全製品にクロック入力を搭載しているという事でも、その大きさを物語っています。 “無くてはならない”ものではないのですが、クロック同期による効果は、更にその製品を開花させると認識して頂いても良いと思います。
K-03には元々0.5ppmのVCXO高精度クロック回路が入っているので、プレーヤー単体でも今までのものに比べて精度は高いのですが、良質のクロック同期では更なる広がりと滑らかな音楽再生が期待出来ます。
ESOTERICでも「G-0Rb」、「G-03X」という高品位なクロックを発売していますし、このコーナーでも紹介している、 オランダのクロックジェネレーターのGrimmAudio「CC1」とも好相性で、フロアでも良く使っています。
クロックに求められるものはまずは“精度”だと思いますが、これは“クロック=高性能な時計”と言う事では当然なのですが、この場合“ジッター低減効果”も大きなポイントでしょう。(VOL.4参照) もし機会がありましたら、このクロックとも合わせてご試聴下さい。

このK-03はVRDSに加えて32Bit/DACの良さが光り、従来の高解像度ではあってもやや硬質なイメージとは異なり、進化したESOTERICサウンドを楽しめますが、 特にCC1で同期させると確実に奥行きや緻密さが湧き、空間表現も増して、耳当たりが良く聴き易くなります。

クロックに接続するBNCデジタルケーブルでも、色々試してみると音は大きく変わります。
供給するデジタルケーブルでころころ変化するのも何故だか信じがたいですが、追い込みには欠かせないでしょう。
こちらでは、クロック同期にはいつもStealth Audio Cable「Varidig BNC」を使用しています。定価¥89,250というデジタルケーブルとしての性能の高さも大いにあるのです。 銀導体なのですが、所謂“銀臭さ”などはなく、情報量も非常に高いです。こちらでも相当数販売しており、人気の高いお勧めケーブルです。

ケーブルを始め、電源ケーブルや電源環境、設置場所・・等でも大きく表情を変えますし、非常に追込み甲斐のある製品です。
またこのプレイヤーはUSB入力も対応していて、USB DACとしての新たな楽しみ方も出来ます。 このUSB入力も、ただ単に“付いている”だけでなく、音にこだわったデバイスで構成されるなど質の高い音で楽しめます。
総じて最近では、国産/海外ブランド含め“Discプレイヤー”での意気込みをかけた新製品がめっきり少なくなって来ている傾向にあり、 少し悲しくもあるのですが、その逆境の中ESOTERICがこの様な製品を発売するという事は頼もしいものです。

是非今後ともESOTERICにはDisc“プレイヤーの意地”と“存在意義”のある製品を期待していきたいと思います。