VOL.90-2 Technics SE-R1 製品レポート






*リアパネルはクリックすると拡大

Technics SE-R1 ステレオパワーアンプ  定価 \1,580,000

昔懐かしいあの前面ガラスパネル。
その中のメーターが楽しそうにリズムを刻んでいるように見えでしまいます。

清潔感のある白いやさしいディスプレイ。
その周りには存在意義をしめすかのごとく大きな筐体。

サイズよりも出したいサウンドを重視させたと思わせんばかりの筐体が何を物語る
か。

このSE-R1の魅力に迫ってまいります。

■LAPC

LAPCとは(Load Adaptive Phase Calibration)の略となりますが、これがこのアン
プの大きな魅力の一つです。

スピーカーのインピーダンスは周波数ごとに変化するといわれます。現にあるス
ピーカーのスペック表を見ると8Ω(最低3.5Ω)などという表記もあります。

そこに着目したのがつけたのがこのLAPC。

フロントパネルにLAPCのスィッチがついておりますので、点滅するまで長押しをし
てください。そうしますとアンプの出力特性の測定が始まります。この時にスピー
カーからはテスト信号が再生されます。測定には数分かかりますが、終了後点滅か
ら点灯に変わります。これで設定は完了となります。このLAPCの機能はスピーカー
の特性を合わせるものとなりますので、スピーカー変更の場合は再設定が必要とな
ります。

詳しい技術資料は下記をご覧ください。

Technics資料

スピーカーのインピーダンスは周波数毎に変化するので、パワーアンプには、その
特性に影響されることなく、スピーカーを駆動することが求められます。しかし、
従来のデジタルアンプでは、出力段のローパスフィルターを介してスピーカーに接
続されていたため、スピーカーのインピーダンス特性の影響をより強く受けていま
した。また、従来のアンプでは、負帰還により振幅特性を改善していましたが、位
相特性まで改善することはできませんでした。そこで、スピーカーを接続した状態
でアンプの周波数振幅位相特性を測定し、デジタル信号処理により理想的なインパ
ルス応答に補正するスピーカー負荷適応アルゴリズムを開発。この新手法により、
これまでのアンプでは実現できなかった振幅と位相の周波数特性の平坦化を可能に
し、空間表現に優れた音の再生を実現しました。





     画像クリックで拡大            画像クリックで拡大JENO Engine

SE-R1はここ最近増えてきておりますデジタルアンプとなります。
新しく開発したジッター削減回路とPWF変換回路を搭載。
その名称がJENO Engine(Jitter Elimination and Noise-shaping Optimization)

Technics資料

ハイレゾ音源の持つ圧倒的な音の情報を、余すことなく忠実にパワーアンプの出力
まで伝送するため、SE-R1ではフルデジタルアンプ構成を採用しました。デジタル伝
送は、アナログ伝送に比べ、外部ノイズによる信号劣化が少なく、高精度の信号伝
送が可能ですが、従来のデジタルアンプでは、ジッターによる時間精度の劣化と、
マルチビット信号を1bit PWM信号に変換する際の誤差により、音の歪み、音質劣化
が起きていました。そこで、ジッターによる音質劣化を解決するために、独自のジ
ッター削減回路を新開発。この回路は、低周波帯域のジッターを抑制するノイズシ
ェーピング方式のクロック再生成回路と、高周波帯域のジッターを抑制する高精度
サンプリングレートコンバーターで構成され、全可聴帯域において理想的にジッ
ターを削減します。また、PWM変換誤差に対しては、独自の高精度PWM変換回路を開
発。ノイズシェーピングの速度、次数と再量子化数、およびPWMの階調数を独自のノ
ウハウにより最適化することで、ハイレゾ音源ならではのダイナミックレンジを損
なうことなくPWM信号に変換します。これらの新技術により、自然でありながら、音
楽の細かなニュアンスまでも感じることのできる緻密な音の再現を実現しました。


        画像クリックで拡大 GaN-FET Driver

PWF信号を充実に電力供給するための回路

Technics資料

正確に生成されたPWM信号を忠実に電力増幅するには、高速かつロスの少ないスイッ
チングが必要不可欠になります。そのために、高速で超低ON抵抗のGaN-FET Driver
を、LRチャンネルそれぞれに4個ずつ搭載。シングルプッシュプル構成でも十分な大
電力アンプを構成できるため、大電流のシグナルパスを最短化でき、微小音から大
音量まで高精度に追従する、リニアリティに優れたスピーカードライブを可能にし
ました。


        画像クリックで拡大 Battery Driven Clock Generator

Technics資料

デジタルオーディオでは、動作の基準となるクロックの精度が高音質化の要となり
ますが、その大きな阻害要因がクロック回路の電源ノイズです。SE-R1では、クロッ
ク回路の電源をバッテリー化することにより、電源ノイズの悪影響を排除し、クロ
ックの高精度化を実現。明瞭度の高い音像定位と見通しの良い空間表現を可能にし
ました。


        画像クリックで拡大 Technics Digital Link

Technics資料

デジタルの音量調整ではbit落ちなどによる振幅精度の劣化、伝送時におけるジッ
ター成分の混入というさまざまな音質劣化要因が存在します。そこで、SE-R1とSU-R
1では、ボリューム検出部(ボリュームノブ)を搭載したネットワークオーディオコ
ントロールプレーヤー(SU-R1)側では実際の音量調整は行わず、音量調整情報を音
声信号とともにパワーアンプ(SE-R1)へ伝送。ジッター削減回路で伝送によるジッ
ターノイズを削減したのち、PWM変換の直前で音量調整を行う新たな信号伝送イン
ターフェース Technics Digital Linkを開発しました。これにより、ネットワーク
オーディオコントロールプレーヤーとパワーアンプ間の伝送時における時間精度・
振幅精度の劣化を最小限にする理想的なアンプ構成を実現。また、このインターフ
ェースでは、LR独立に伝送することでチャンネル間の影響を排除。セパレーション
が高く、微小信号の再現性に優れた再生を可能にします。

■High-speed Silent Linear Power Supply

Technics資料

さまざまなスピーカーとの組み合わせで、圧倒的な力感をもつ大信号から繊細なニ
ュアンスをもつ小信号までを正確に再生するには、刻々と変化する音楽信号に対し
て電圧が変動することなく応答できる、強力かつローノイズな電源回路が必要とな
ります。通常、アンプの電源回路は大容量電源トランスと整流回路、平滑回路で構
成されますが、理想的な電圧・電流の波形を実現するため、SE-R1では、“チョーク
インプット型の平滑回路”と“ディスクリート型の安定化電源回路”を採用しまし
た。平滑回路の主流であるコンデンサーインプット型では、コンデンサーに電荷を
蓄えると電圧波形のリップルは減少する一方、アンプは絶えず電流を要求するため、
電荷を蓄えてもすぐに放出されてしまいます。また、それを抑えるためにコンデン
サーの容量を大きくすると電流の波形変動が大きくなり、音質を考えると好ましく
ありません。それに対し、チョークインプット型の平滑回路では、電流が定常的に
流れることで、力強い音の再現を可能にするとともに、ディスクリート型の安定化
電源回路により、徹底したリップルの低減と低ノイズ化を図っています。さらに、
左右のチャンネル間の干渉を低減するために、LR独立巻き線の大容量1kVA-Rコアト
ランス※をはじめ、LR独立のSiC SBDを用いた整流、LR独立のチョークコイルを採用。
これらにより、音楽信号の変化に左右されることなく、ゆとりを持ってスピーカー
を駆動することができます。

■DUAL MONO 構成

こちらもこだわりのDUALモノラル構成

Technics資料

LRチャンネルの信号が回路内で干渉すると、音像がぼやけたり、音の広がり感が損
なわれてしまいます。それを回避するために、デュアルモノ構成のオーディオ回路
を採用し、LRチャンネルの信号経路を完全に分離。相互干渉を徹底して排除しまし
た。さらに、電源トランスを中央に、パワーアンプブロックなどのパーツを両端に
独立配置した、左右対称設計とすることで、理想的な重量バランスを追求。また、
電源はメイントランスの2次巻線以降を左右独立とすることで、優れたセパレーショ
ン性能を実現。他にも、最適な回路配置や2重構造シャーシにより、信号経路の最短
化を図るとともに、電源部のブロックコンデンサーなどの接続に、AWG12の極太ケー
ブルを採用したうえ、銅メッキ処理したネジ留め結線とすることで、ローインピー
ダンス化を徹底。S/N比などのオーディオ特性の向上と、空間表現力豊かな音の再生
を実現しています。

■筐体

High Rigidity Metal Double Chassis

Technics資料

音の純度を濁らせる原因となる振動やノイズを徹底して排除するために、3mm厚の鋼
板インナーシャーシと鋼板アウターシャーシの2重構造とした高剛性金属2重構造シ
ャーシを採用しました。ボトムのインナーシャーシとアウターシャーシの間にはア
ルミダイキャスト製の柱を配置して、内部振動の大きな原因となる電源トランスを
強固に固定。さらに、インナーシャーシには、銅メッキを施すことでグラウンド電
位の安定化を図っています。また、フロントパネルは、電磁ノイズによる影響を受
けにくい7mm厚のアルミ材を採用。より強固にシャーシを支持することで、筐体の制
振性・剛性を高めています。


        画像クリックで拡大 高品質のパーツを採用

Technics資料

バイワイヤリング接続に対応したスピーカーターミナルは、新設計の大型端子を採
用。真鍮無垢材からナット部と座金一体型シャフト部を切削加工し、金メッキを施
した精度の高い端子は、確実なケーブルの締めつけで音質劣化を防ぎます。また、
アナログ入力端子には、真鍮削り出しのピン端子を採用。インシュレーターには、
剛性が高く、減衰性の良い鋳鉄製を用いて、外来振動および外部へ与える振動を徹
底的に低減します。また、各コントロールノブはアルミ無垢材の削り出しとし、高
い質感と確かな操作フィーリングを実現しました。

 

■フロントパネル

高級感のあるフロントパネル

・メーター  :出力レベルを表示

・DIMMERボタン :ライトやインジケーターの明るさ調整

・LAPCボタン  :独自の補正回路ボタン

・入力切替つまみ
  /入力ゲインの切り替え:

・スピーカー切替:A or B / A + B

       
■Specification

●定格出力(JEITA):150W + 150W(1kHz, T.H.D. 0.5 %,8Ω,20kHz LPF)
         300W + 300W(1kHz, T.H.D. 0.5 %,4Ω,20kHz LPF)

●入力感度/入力インピーダンス
          :アンバランス 1.2 V/47 kΩ、バランス 1.2 V/47 kΩ

●周波数特性    :1Hz - 90kHz( -3dB, 8Ω)

●総合ひずみ率   :0.05 %(1 kHz, 75 W, 8 Ω, 20 kHz LPF)

●負荷インピーダンス
         :AまたはB,バイワイヤー:4-16Ω、A+B:8-16 Ω

●アナログ入力端子:アンバランス×1、バランス×1

●デジタル入力端子:Technics Digital Link×1


●電源       :AC 100 V(50 Hz / 60 Hz)

●消費電力    :240 W

●外形寸法(W×H×D):480 × 241 × 567 mm

●質量      :約 54 kg


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試聴レポートは準備中です。

2015年6月3日 H.A.L.3 島