VOL.130 Constellation Audio PICTOR & TAURUS

 
今回はConstellation AudioのPICTORとTAURUSをご紹介させていただきます。 PICTOR プリアンプ ¥2,400,000 TAURUS ステレオパワーアンプ ¥2,700,000 代理店のサイトは http://stella-inc.com/001constellation/index.html Constellation Audioのラインナップは フラッグシップのリファレンスシリーズ、パフォーマンスシリーズ、エントリーシリーズ があり、昨年Revelation(レヴァレイション)シリーズが発売されました。 今回紹介させていただく、PICTOR、TAURUS以外にもフォノイコライザーのANDROMEDAもこ のシリーズになります。 このRevelationとは日本語で啓示、明らかにするという意味を持つ型番であり、自信がみ なぎっている証拠ではないかと思います。 参考までに リファレンスシリーズのHERCULES IIとALTAIR II はセットで4150万から。 パフォーマンシリーのはCENTAUR IIとVIRGO III はセットで1270万から インスピレーションシリーズのPREAMP 1.0とSTEREO 1.0は336万から そしてレヴァレイションシリーズが510万からとなります。 フラッグシップモデルは驚くべき価格ではございますが、それだけの製品を開発、そして 発売できるブランドであるということをまずはご記憶いただきたいところです。 Constellation Audioは(株)ステラが輸入業務を行っております。 http://stella-inc.com/z_company/index.html 取り扱いブランドも多く、また自社開発のTechDAS。そして兄弟会社の(株)ゼファンも 入れるとかなり大きな輸入代理店と言えます。そのステラが2012年に満を持して取り扱い を開始したのでがこのConstellation Audioになります。 Constellation Audio代表のムラーリ・ムルガス氏はオーストラリアにてブランドのConti nuum Audioを設立しております。当時かなりハイエンドのアナログプレーヤーを発売し話 題になったことを今でも覚えております。 日本での輸入代理店は今回取り扱いを開始したステラの兄弟会社でもある(株)ゼファン でした。そのころから代表のムラーリ・ムルガス氏はアナログだけではなく、アンプブラ ンドを立ち上げたいという話があったとのことです。 その彼が投資ファンドの元に2009年に立ち上げたブランドがこのConstellation Audioと なります。またContinuum Audio時代の付き合いもあり、今回は(株)ステラが取り扱い を始めたとのことです。 Constellation Audioはまだ設立10年ほどの会社になりますが、設計を行っている方々は 業界でも屈指のエンジニアとなっております。 その中でも特にジョン・カール氏は有名ではないでしょうか。 当時のMARK LEVINSONというブランドはもちろんマークレビンソン氏のブランドでもあり ますが、そこにはジョン・カール氏、そして今は亡きトム・コランジェロ氏が在籍してお りました。今でも名機として語られているJCシリーズのJCとは彼の頭文字からとっている ことは有名な話です。その後マーク・レビンソン氏はトム・コランジェロ氏とCelloとい うブランドを立ち上げておりますが、ジョン・カール氏もずっと設計は続けておりました。 取り扱いはございませんでしたが、PARASOUNDというブランドで腕を振るっていたという ことは知っておりました。 さてこのブランドはDREAMチームで結成されており、ジョン・カール氏だけではなく、 オーディオアルケミーやディネッセンというブランドで活躍してきたピーター・マドニッ ク氏、マランツやGASなどで名機の回路設計を担当していたバスコム・キング氏、スペク トラルの創業に携わったデミアン・マーティン氏、モンスターケーブルでの開発責任者で あり、オーディオクエスト、XLOのケーブルに携わったジェイ・ビクターなど錚々たる顔 ぶれということです。 折角ですので、Constellation Audioの基本方針をご紹介します。 If tradition works,embrace it 伝統が役に立つのであれば、それを受け入れよ If new technology is needed,invent it 新技術が必要ならば、それを開発せよ If a radical soulution is required,adopt it 思い切ったソリューションが要求されるなら、それを採用せよ Use the best possible technologies and manufacturing techniques,regardless of cost or complexity 費用と手間ひまを惜しまずに、可能な限り最高のテクノロジーと製造技術を使用すること Manifacture our products ourselves,in our Newbury Park,California facility 製品は、カリフォルニア州、ニューベリー・パークの当社施設で、我々自身で製造するこ と。 ステラ資料より さてブランド名のConstellationとは星座という意味を持ちます。 型番に星座が用いられていることにお気づきかと思いますが、今回紹介させていただく PICTORは画架座、TAULUSは牡牛座を意味します。 前置きはここまでにして、製品の詳細に入らせていただきます。 PICTOR 操作 まず左右対称にレイアウトされたノブがシンプルさを感じさせます。 左は左右バランス、右はヴォリュームになります。 フロントのディスプレイは真ん中のパネルの底の部分にボタンがついており、タッチパネ ルと併用して使用します。 ディスプレイの一番下のアイコン及び、文字の下の筐体部分に小さなボタンがついてお ります。表示に従ってボタンを押してください。        ・ホーム画面(家のマーク):入力切替         入力切替後 SET UP →各入力の音量のMAXとMINIMUM、バランスの設定 ・SETUP セットアップ画面 →INPUT切り替え画面でSET UPを押すとディスプレイの設定 ・電源 スタンバイスイッチ ・PHASE 位相切り替え +正相(2番HOT)−逆相(3番HOT) ・MUTE *現在のディスプレイはREVELATONという表示からPICTORという表示に変わっております。   ヴォリュームの右下にあるロゴですが、こちらはリモコンの受光部になります。    背面 入力:バランス3系統/アンバランス3系統 出力:バランス2系統/アンバランス2系統 左右独立しており、また直接背面のパネルに端子が取り付けられている設計ではなく、フ ローティングした状態になっております。 また左右の基盤はシンメトリー構造になっております。 海外ではAVとの連携もあり、TRIGGAR端子(プリ、パワー電源連動)もついております。    電源部 電源部は別筐体になっており、左チャンネル、右チャンネル、そしてコントロールの為の 電源を3本のケーブルで伝送しております。 電源部からのケーブルは端子を入れて140cm弱となっております。 メインスィッチ(主電源)はこちらの電源部にあります。 その他 サイズ :本体 432 x 381 x 133 mm/電源部 432 x 330 x 70 mm (W×D×H) 重量 :本体 8.5kg /電源部 7kg 製品の詳細 PICTOR http://www.stella-inc.com/001constellation/page/PICTOR.html TAULUS    筐体 強固なアルミ筐体仕上げとなっております。その筐体の仕上げはブラスター仕上げ、及び アルマイト処理されております。この方法はTechDASのモーター部などにも使用されてお りますが、むらが出やすくこのサイズになると職人技が必要であるとのことです。 またサイドパネルの放熱版ですが、非常に難しい加工となっており、一枚の板を両側から 加工しております。放熱効率を考えた非常にこだわったパネルとなります。良く見ると芸 術性を感じます。 テクノロジー 増幅回路はICではなく、フルディスクリートで組んであり、徹底した回路設計になってお ります。 増幅回路はホット側・コールド側ともに厳密に選別されたNタイプトランジスタのみを使 用しており、特性的に完全な鏡像関係を実現しており、完全バランス設計となっておりま す。 他社製プリアンプと組み合わせる場合のために、入力段にラインステージ・ゲイン・モジ ュールを搭載しています。他社製プリアンプと組み合わせる場合には、このモジュールに より完全なバランス信号が増幅段に送られることになり、TAURUS のパフォーマンスが十 分に発揮されます。 基本ベースはSTEREO 1.0 になりますが、電源容量、コンデンサーの容量を上げることに より、余裕のあるドライブ力を実現しております。 フロントパネル フロントパネルのセンター部分がスィッチになっております。 左側長押しで電源のオン、オフとなり、短く押すとMUTEになります。 電源を入れる場合、切る場合両方とも点滅になり、多少の時間がかかります。     背面 入力端子:XLR×1、XLR(ダイレクト)×1、RCA×1 背面のディップスィッチ3段階切り替え XKRダイレクトはConstellationのプリアンプ専用 MUTE機能:ディップスィッチでON/OFF 主電源:ON/OFF スピーカーターミナル:Yプラグ、バナナ端子使用可能(metal binding posts) ARGENTO AUDIO社製カスタムメイド バナナプラグ使用時は写真のように外してください。 その他 出力:200W(8Ω)/400W(4Ω) 電源ケーブル:20A用電源ケーブル(一般的には15A用) サイズ:432 x 554 x 218 mm (W×D×H) 重量:46kg FOO:HRS AUDIO社製のインシュレーターを採用 製品の詳細 TAULUS http://stella-inc.com/001constellation/page/TAURUS.html それでは、試聴レポートに入らせていただきます。 使用システム ●B&W 800D3 SPEAKER ¥4,500,000(税別) http://www.bowers-wilkins.jp/Speakers/Home_Audio/800_Series_Diamond/800-D3.html ●CHORD Blu Mk2 CD TRANSPORT/UP SAMPLER ¥1,400,000(税別) https://www.chordelectronics.jp/products/choral-range/blu-mkii/ ●CHORD DAVE D/A CONVERTER ¥1,500,000(税別) https://www.chordelectronics.jp/products/choral-range/dave/ ●IO DATA HFAS1-S100 ミュージックサーバー ¥370,000(税別) http://www.iodata.jp/fidata/product/index.htm まずは一通り様々なジャンルを試聴しました。 率直な意見としてコメントするのに非常に困ってしまいます。 例えば女性VOCALの歌い方ひとつにしても、透明感ある歌い方、中低域に厚みのある歌い 方。歌い手の年齢によっても変わってくるかと思いますが、その歌い方がモニター的であ りながら心に響いてきます。そもそもモニター的という表現が良いのか、悪いのかを考え てしまうことがあります。どうしてもイメージ的に中低域が厚く、芯のあるサウンドを例 えてしまうのですが、プロの世界のモニター的と、コンシューマーオーディオのモニター とは少し切り離しで考えた方が良いと感じます。それがこのコンステレーションオーディ オのサウンドを聞くと感じてしまいます。 全体的にはすっきりとした爽やかなイメージですが、その中でしっかりと音源を生かして くれ、それぞれのVOCALの魅力を表現してくれます。 クラシックに関しては、オーケストラはそれぞれの楽器が分離して聞こえるというよりも 全体的には空間表現が非常にうまく、自然に楽器が入ってくる印象を持ちます。 今回使用したスピーカーはB&W800D3ですが、低域から高域までバランスよくドライブして くれており、この力はどちらかというとパワーアンプのTAULUSによるところが大きいかと 思います。 プリアンプ、パワーアンプをセットで試聴する場合には難しい判断になりますが、プリア ンプの仕事、パワーアンプの仕事それぞれがしっかり生かされている印象を持ちます。 繊細かつ素直というのはプリアンプのPICTOR。そして安定感のあるバランスはパワーアン プのTAURUSになってくるかと思います。 エントリーモデルのインスピレーションシリーズでは味わえない余裕と、情報量もしっか り感じることが出来ました。 ジャズに関しては、前に押し出すというイメージではなく、こちらも素直なサウンドが特 徴になります。ロックに関しましても、あまり刺激的な音は出さないので、物足りなさを 感じることもあります。 さて今回は推奨のDIRECT接続での試聴でしたが、ラインステージ・ゲイン・モジュールが パワーアンプにはありますのでそちらに接続を変更しました。 ゲインが上がった分エネルギーが増し、迫力も出てきます。静寂感は減ったのですが、 底力というか深みはこちらの方があるように感じます。これは面白い違いが出ます。 ロック、ジャズであれば私はこちらの方が好みかもしれません。 冒頭にも述べましたが、このブランドこそコメントに困るブランドはないというのが率直 な意見ですが、逆にコメントできる製品は良い意味で個性を感じることができるブランド です。 このConstellation Audioはカタログでも記載があるように 「積極的かつ魅力的な無個性」 そのことが良く理解できる音作りとなってしまいます。ただこの世界は色々な人が携わる ことで個性を失ってしまい、中庸な音作りになってしまい、つまらないという表現もされ がちです。ただこの音に慣れてしまうと他のブランドを不自然な音作りと感じてしまう場 合もあります。正直なところ万人受けかと言われるとそうではないと思います。 ただこの音にほれ込んでしまうお客様は、音楽の中に入っている真の姿を引き出したいと 思われているお客様に評価が高いのかもしれません。 私の勝手なイメージですが、当時WILSON AUDIO VS AVALON 、GOLDMUND VS AYREとい うことでその昔デモンストレーションを行っておりましたが、AVALON、AYREを選ばれるお 客様であればその魅力を感じることができるのではないかと感じました。 音楽の趣味も時代によって変わってくる場合もございます。 是非一度Constellation Audioサウンドを感じていただければと思います。 店頭のデモンストレーションでは一見地味ですが、少し長い時間聴くとその良さは解って いただけるのではないかと思います。                             2018年1月28日 H.A.L.3 島