VOL.120 FOCAL SCALA UTOPIA ラックスマン訪問編

本日はラックスマン株式会社が取り扱いを開始するフランスのFOCALのお話をさせていた だきます。 日本での取り扱いは以前(株)NOAHが行っておりました。その時のブランド名はJMラボと なっております。 メーカー名とブランド名が違うケースも多くございますが、ユニットとしてはFOCALのイ メージが強く、完成したスピーカーに関してはJMラボというブランド名をつけていたよう に記憶しております。そこからメーカー名、ブランド名をFOCALに統一したのですが、 (株)NOAHが取り扱いを中止した時期の少し前だったような記憶です。 (株)ノアから(株)ロッキーインターナショナルに輸入代理店が移行し、今年の10月よ り正式にラックスマン(株)が新たな代理店にして販売を再スタートさせます。 詳細はこちら http://www.luxman.co.jp/presspro/focal_release さて入社時代に出会ったスピーカーで記憶に残っているモデルの一つがJM LabのGrand Ut opiaでした。¥8,000,000という価格、そして186kgという重量。そして低域の深みなどハ イエンドオーディオの凄みを感じたモデルです。 忘れてしまいましたが、何かのCMで登場した記憶がございます。 今回はUtopiaシリーズ、Sopraシリーズ、Ariaシリーズ、Chorusシリーズの4つのラインナ ップで開始いたしますが、以前のEKEKTRAシリーズはステレオ再生のお客様だけではなく、 ホームシアターのお客様に非常に人気がありました。 今ではFOCALの代名詞でもあるベリリウムを採用した時代にMICRO UTOPIA BEはファンも多 く、他にないスピーカーであると絶賛されておりました。ここ数年は店頭にご用意して鳴 らす機会があまりございませんが、記憶が新しいところでは2013年のステレオサウンドグ ランプリでは第三世代のGRAND UTOPIA EM ¥22,000,000が入賞をしておりました。(ス テレオサウンド189号参照)その価格も含めて驚きを得たことを思い出します。 さてFOCA社Lに関しましては、1980年にフランスで創立されたメーカーで、当時ユニット の開発から自社で行う数少ないメーカーでした。またFOCALのユニット採用し、スピー カーを制作していたメーカーもありました。 ホームオーディオだけではなく、カーオーディオでの人気も非常に高いという話も耳にし ます。 スタート時は私も知りませんが、今ではスピーカーのブランドとして、片手の指に入るぐ らいの大きな会社まで成長を遂げているとのことです。    さてFOCAL社の取り扱いを始めるという話は少し前に聞いておりましたが、9月13日(水) に時間を設けてもらい、ラックスマン本社まで試聴にお伺いしました。試聴室は地下にあ るのですが、案内されたのはまずは違う階でした。 入った先にはFOCALの様々なラインナップが展示されておりました。カラーバリエーショ ンもあり、オーディオ心をくすぐるものでした。   さてメインで用意されたいたのはSopra N°3    アンプはラックスマン新製品のL-509X。プレーヤーは同社D-08Uになっております。今回 個人試聴でしたので、DELAのMUSIC SERVER を用意していただき、USBメモリーに入ったチェック用の音源で試聴させていただきまし た。どうしても複数の曲を聞きたいということもありいつもバックの中に常備しておりま す。 ラックスマンの開発部長の長妻氏も立ち会っていただき、新製品のL-509Xのお話をしてい ただきました。今回のデザインは個人的に素晴らしいと思っております。音に関しては、 ここでのコメントは控えさせていただきますが、完成度が非常に高く好印象であったこと は述べさせていただきます。2002年のL-509fSEから2006年〜2011年11月まではL-509uでし たが、6年ぶりにXとして登場となります。こちらは店頭にてゆっくり試聴したいところで す。 試聴後にディスプレイを使って、FOCAL社の本社工場の映像。そしてユニット工場の映像 を見せてもらいました。そのスケールの大きさには私も非常に驚きを得ております。 あまり他の会社の内部を見ることもございませんが、やはり世界的に人気のブランドであ るということはこの映像から垣間見れました。    横にはシリーズ3になったUtopiaのSCALAが飾っておりました。   中が見れるような派手なモックも展示しておりました。    その後地下にある試聴室におりて試聴を行いました。 システムとしてはCD/SACD PLAYERのD-08UとプリアンプC900U、パワーアンプはM90OU2台と いう構成になっております。M900Uに関しては、BTLではなく、高域、低域接続でのマルチ 駆動にしております。BTLよりもこちらの方がバランスが良かったとのことです。 スピーカーはMaestro Utopia Evo¥6,800,000(税別) ここでもDELAを用意していただき、データ再生でじっくり試聴させてもらいました。 やはり他社にはない、これぞFOCALサウンドというのを感じ取ることが出来ました。   のMaestro Utopia Evoは背面のスピーカーターミナルのところに、ジャンパーケーブル を使用した特性の変更ができます。低域のコントロールの変更をしてみましたが、量感も さることながら質感が変わってきました。SCALA Utopia Evoは2段階、Maestro Utopia Ev oは3段階の切り替えとなります。 このあたりのコントロールはH.A.L.3の試聴室でじっくりやってみたいところです。 FOCALの特徴としては、全体的なスケール感と、熱い音楽表現になると思います。 例えばクラシックであれば後ろの席で全体的なハーモニーを楽しまれたい方と、前の席で エネルギッシュに楽しみたい方に分かれると思います。もちろん楽団や演奏形態によって 変えるという通の方もいらっしゃると思いますが、前の席で朗々と聞かれたい方好みにな るのではないかと思います。 また綺麗にお化粧をして鳴らすようなタイプではなく、ダイナミックさと音の深みを感じ るスピーカーになります。今回10種類のジャンルで色々試聴を行いました。その中で 一番良いと感じたのは、MISIAの星空のライブでした。 http://mora.jp/package/43000001/4988017697412/ 彼女の声は日本人離れした声量と音域の広さです。昨年ライブも行きましたが、その感動 をこのFOCALはしっかりと思いださせてくれました。 エネルギー感、ライブ感、程よいVOCALの位置。そしてSOULが伝わってきます。 あえて日本ブランドで例えるとすればTADのスピーカーではないでしょうか。 TADとFOCALは同じベリリウムを採用している点も同一です。ベリリウムは新しい素材と いう訳ではございません。昔のYAMAHA NS-1000Mもベリリウムを採用し、有名なところで はJBLのEVERESTもベリリウムを採用しております。アルミニウムの10倍以上剛性が高く、 音速は2.5倍速いものとなっております。 あまり素材のことを表に出しても仕方ありませんが、B&WはDiamondであり、このFOCALは ベリリウムということになるでしょう。 ツィーターだけではなく、スコーカー、ウーファーなどにもこだわり、ロハセル素材を挟 み込んだサンドウィッチコーン、そしてユニット素材だけではなく、内部構造もしっかり こだわっております。 ユニット構成はUtopiaシリーズ、Scalaシリーズ共に、下にウーファー、真ん中にツィー ター、その上に角度のついたミッドレンジという3筐体の組み合わせになっております。。 (ブックシェルは除く)ウーファー部分も角度がついており、位相にこだわった設計にな っております。 それとカラーバリエーションの豊富さも見逃せません。デザインは非常に重要なファク ターであり、当時WILSON AUDIOがSYSTEMシリーズと言われる時代に人気になった理由の一 つとしてカラーバリエーションの豊富さもありました。 UtopiaシリーズはBritish Racing Green、Ash Grey、Carrara White、Metalic Blue、Bla ck Lacquer(全5色) ScalaシリーズはElectric Orange、Dogato Walnut、Black Lacquer、Imperial Red、Carr ara White(全5色) こういうデザイン性もフランスといったところでしょうか? フランスのオーディオブランドとなると真っ先にFOCALを思い浮かべますが、その他には 私はMetoronome Technorogy、近年ではDevialet。昔にさかのぼるとGOLDMUNDの創業はフ ランスになります。 個性的な音楽性にはまってしまうブランドばかりです。 この個性が生み出すサウンドは唯一無二であり、ある意味音楽にポリシーを感じることが 出来ます。 ラックスマンが今回輸入業務を開始いたしますが、その歴史の中ではKEFを扱っていた時 代、そしてConsensus Audio。こちらはやむなく取りやめております。近年ではMission、 そして今回のFOCALになります。ラックスマンのサウンドでFOCALをいかにまとめ上げてい くか非常に興味があるところですが、店頭ではじっくり他社のアンプも含めて鳴らしてみ たいと思わせるスピーカーです。 価格面に関しましても、定価が下がっておりますのお買い求めやすくなっております。 まずはラックスマンがFOCALの輸入業務を開始するにあたり差しあたってレポートさせて いただきました。                          2017年9月18日 H.A.L.3 島 健語