VOL.109 IsoTek AQUARIUS/SIGMAS 製品レポート

ご紹介が遅くなって申し訳ございません。既に展示して数か月経過しておりますが、
H.A.L.3の試聴室でもオープンスペースでも活躍しておりますIsoTekのご紹介をさせ
ていただきます。

 
 AQUARIUS               SIGMAS

EVO3 AQUARIUS ¥270,000(税別)
http://naspecaudio.com/isotek/evo3-aquarius/

EVO3 SIGMAS  ¥480,000(税別)
http://naspecaudio.com/isotek/evo3-sigmas/

輸入代理店 (株)ナスペックのホームページ

http://naspecaudio.com/isotek/


IsoTekは2001年に設立された電源に特化したイギリスのブランドになります。

電源関連のメーカーは日本も含めて色々なメーカーがございますが、このIsoTekは
電気信号におけるノイズ対策ということで独自のテクノロジーがございます。


ノイズにはDifferential Mode Noise(ディファレンシャル・モード・ノイズ)と言
ってPCや電子レンジ、冬場ですと、便座シート、ホットカーペットなど多くのノイ
ズ源があります。特にインバーター電源というのはトランスの唸りを引き起こす原
因としてお困りになっているお客様も多いかと思います。またその多くはスィッチ
ング電源であり、オーディオ再生において悪影響を与えております。

もう一つのノイズとしてCommon Mode Noise(コモン・モード・ノイズ)。
携帯、WI-FIなど空気中に飛び交う電波により引き起こされるノイズになります。こ
ちらは特に電源ケーブルなどがアンテナとして影響を受けてしまうそうです。

そういったことをしっかり考えた上で独自の電源フィルターを開発して採用してお
ります。

PHO5



今回紹介する2モデルの回路図をご覧ください。

 
 AQUARIUS               SIGMAS

まずは両モデルとも電源の口は低出力用4系統、高出力用2系統というのは変わりま
せん。

一見下位モデルのAQUARIUSの方が低出力用においてはフィルターが一つ多く良さそ
うに感じます。また大出力用に関しましては、上位モデルのSIGMASはフィルターが
追加されております。逆にいうとその分音やせしてしまうのではないかと思ってし
まいます。

ただ回路で語れない部分が多くあります。

相違点としてSIGMASのほうが

・コア・コイルなどフィルターパーツがグレードアップ

・パワーアンプ用出力のフィルターも20Aデルタフィルターの2段構成に強化により
 パワーアンプ用出力のノイズレベルが著しく低下 

・前段機器用コンセントの電流容量が2倍に増強
 (AQUARIUS 5A/SIGMAS 10A)

・内部配線材にはテフロン被覆の銀メッキPCOCCを投入し、プリント基板の銅箔には
 24金メッキを施すなど、配線材や回路基板もよりグレードアップ

・入力の電圧、THD(歪率)を示すLEDディスプレイ搭載

・重量 AQUARIUS 7.2kg /SIGMAS 9kg

・サイズ AQUARIUS 445×105×320 mm /SIGMAS 445×105×325 mm

写真はSIGMASのフロント表示

  
左側のボタンでヴォルテージ 真ん中のボタンで消灯  右側のボタンで歪み率

両モデルの共通点

・オリジナル20Aの電源ケーブルが付属されます。



専用20A電源ケーブル EVO3 PREMIER 1.5m 付属


・AC 100V以外は使用できません。

さてこのIsoTekの代理店は(株)ナスペックですが、既に何度もイベントを行って
おりますが、デモンストレーションの時はノイズアナライザーを使用してその変化
を体験いただいております。

数値もそうですが、ノイズが多いと「ガー」とか「ピー」とか音が出ます。
ノイズの種類やレベルで音が変化しますが、その音を聞くと精神的には良くないで
すね。


  
 写真1           写真2          写真3

写真1は壁コンセントでの測定。
基準が解りませんが、非常にノイズが多いことが解ります。

写真2はSIGMASの高出力からとった場合、

写真3はSIGMASの低出力からとった場合となります。

ノイズのレベルが大幅に下がったことがお解りになるかと思います。
(実際ゼロになる場合もあります。)

このノイズアナライザーを使用して、いろいろな電源の測定はしておりますが、こ
こでは公表は控えさせていただきます。

というのもそれぞれのメーカーの考え方がありますが、IsoTekとしてはこのノイズ
対策をしっかり行っているということでご理解をいただければと思います。


試聴レポートに入らせていただきます。

まずはCD/SACD PLAYERに接続しての試聴

当然のことながら音の純度が上がり、音像がすっきりと浮かび上がります。

AQUARIUSとSIGMASで比較を行いましたが、情報量というよりも静寂感が違い、
また解放感、音の余裕が変わってきます。

ここH.A.L.3では多くの電源ブランドのTAP、トランスを使用してきましたが、
個性はやはり感じます。

その個性は上品というか上質というべきか迷ってしまいますが、純度が高いせいか
透明感という個性を感じてしまいます。これはアンプでいうところのOCTAVEやGOLDM
UND的なベクトルを感じる部分があります。その分他の電源ブランドと比較すると線
が細く感じるかもしれません。ただこの解像度がアップすることによる線の細さで
はなく、純度が上がったことによるところになるのではないでしょうか。

次にCD/SACD PLAYERを外してプリアンプに接続して試聴を行いました。
こういった電源ブランドになるとプリアンプの方が変化が多いところはありますが、
IsoTekに関しましては、その変化はデジタル機器の方が効果があるように感じまし
た。デジタル機器では情報量と解放感がありましたが、プリアンプでも同じような
効果がありましたが、CD/SACD PLAYERほどでもなく、逆にこちらは立体感と奥行感
を感じることが出来ました。

ここでもAQUARIUSとSIGMASとの比較を行いましたが、プリアンプですと音の厚みに
より差をを感じることが出来ました。比較してしまうとやはり差は大きいですね。

CD/SACD PLAYERもプリアンプも両方とも低出力用からとっております。
AQUARIUS 5A、SIGMAS 10Aということですが、よほどでは無い限りそこまでの容量
は必要はないと思います。ただそれでいても余裕度が変わってくるというのはやは
りこの電源容量も重要なファクターということでしょう。

ただいずれのモデルを試聴しても壁コンセントから直接とることが、いかに良くな
いことかということが解ります。

次に、CD/SACD PLAYER、プリアンプともにSIGMASからとりました。
予想通りの結果ですが、2倍というよりもCD/SACDで感じた純度の高さとプリアンプ
で感じた立体感がまじりあい良い具合で音質向上しております。ただ1台分接続した
時に感じた線の細さは逆に強調されてもっと細くなるという印象は持ちませんでし
た。

この状態で最後にパワーアンプを高出力のところからとりました。

正直これは大きく好き嫌いが出ると思いますが、思ったよりも音痩せを感じません
でした。ただあくまでも思ったよりもということであり、聞く人によっては痩せた
ように感じるかもしれません。
低域が締まるというところと量感のバランスになりますが、低域を締めたいという
お客様はこちらからとった方が良いでしょう。導入後は壁コンセントからと比較し
て好みで使い分けていただければと思います。

また高出力用からプリアンプをとることでまた違ったサウンドになりますので、
こちらもお試しください。

音の特徴として純度の高さを感じますが、この効果プラス音の厚みを求める場合は
同社から出ているEVO3 TITANの追加導入をお勧めしております。

またパワーアンプ単体だけでしたら個人的にはこちらに接続するのが好みです。



理想の形はTITAN+SIGMASになるかと思いますが、壁コンセントからまずTITANに入
力、出力は2系統しかありませんので、アンプ1台、SIGMASに接続となります。

モノラルアンプをお使いのお客様に関しては、TITANから2台とり、LINKケーブルを
別途購入いただき、SIGMASに接続するのが理想形になると思います。



電源環境は各家庭で変わってきますが、ノイズというのはオーディオにとっては本
当に大敵です。

是非今一度電源を見直してみてはいかがでしょうか?

                         2017年2月26日 H.A.L.3 島