VOL.104 TAD TAD-ME1試聴レポート

TAD-ME1  ¥1,000,000(税別/ペア) スタンドTAD-ST3 ¥160,000(税別/ペア) 本日は2016年11月25日発売のTAD社のNEW SPEAKER TAD-ME1の試聴レポートをお届け します。 既にインターナショナルオーディオショーの前に試作機を試聴しましたが、その時 は2時間ほどの時間しか試聴は出来ておりませんでしたが、かなりの好印象でした。 今回も特別に3日間お借りすることが出来ましたので、先行して試聴レポートをお届 けいたします。 改めてTADのスピーカーの歴史をご案内しておきます。 2003年 TAD-M1の発売 (パイオニアブランド) 2007年 社名をテクニカル・オーディオ・デバイシズ・ラボラトリーズ(TADL)     として本格的なコンシューマーオーディオに力を入れ始めました。     この年にTAD-R1を発売 2009年 TAD-CR1を発売     http://tad-labs.com/jp/corporate/press/090707_02.html 2011年 TAD-E1を発表     http://tad-labs.com/jp/consumer/evolution_one/ 2012年 TAD-R1MK2、TAD-CR1MK2を発表     http://tad-labs.com/jp/consumer/reference_one/products.html     http://tad-labs.com/jp/consumer/cr1/ 2014年 TAD-CE1を発表     http://tad-labs.com/jp/consumer/ce1/ 2016年 TAD-ME1を発表     http://tad-labs.com/jp/corporate/press/160916_01.html さてTADの製品レポートは私も行ってきました。 TAD-E1 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/tad_e1_top.html TAD-CE1 http://www.dynamicaudio.jp/5555/4/rep100.html TAD-E1のスピーカーの展示を開始したのが2011年になりますが、発売当時は高い評 価を得て当時B&W 802Diamondのライバルとして、大きな存在となりました。 またB&Wと違う方向性で多くのお客様に購入いただきました。 この時の印象としてはTADのイメージを持ちながら、空間の作り方もうまく、クラシ ックをお聞きになるお客様も多くご注文いただけております。 それからTAD-CE1はモニター色を濃くし、これぞTADサウンドというのも表に出した 音作りになっているような気がします。 さてこのTAD-ME1はどうでしょうか。 技術的な内容をレポートさせていただきます。 CE1とME1の比較表 クリックで拡大 今回のME1はコストを意識したとも言えますが、その中でもしっかりTADのプライド を設計しております。 ユニット    ウーファーユニットは16cmコーン、同軸9cmコーン型 / 2.5cmドーム型となっており ます。同軸ユニットのツィーターはベリリウム、ミッドレンジはアルミニウムとな っております。同軸の口径を小さくすることでウーファーユニットに持たせる帯域 を広げております。 ミッドレジンに関しましては、マグネシウムの仕上げが変わっておりますが、これ も音質面を意識した設計となっているとのことです。 サイドパネル    サイドパネルは、CE1がアルミですが、スティールになっております。 本体サイズを意識した重量配分となっており、またコスト面での対応かと思います。 このサイドパネルの内側にはポートが空いており、前後に放射させております。 スピーカーターミナル   スピーカーターミナルはバイワイヤー仕様になっております。CE1では大きなサイズ のターミナルでしたが、ME1では本体サイズを意識し、小型化しておりますが、真鍮 削りだしの大型端子を8mm厚の樹脂プレートにマウントしています スピーカースタンド    スパイク受けはTAOC社製(付属ではございません)    スタンドに関しましては、CE1専用スタンド(ST2)とME1専用スタンド(ST3)では 設置面積は横約25mm、奥行約50mmの違いになります。ST3のベース部分は、MDFの上 に鉄板を重ねた仕上げとなっており、見た目的にもすっきりしております。 詳しい資料は 近々ホームページにアップされると思いますが、新製品資料はこちらをご覧くださ い。 http://tad-labs.com/jp/corporate/press/160916_01.html 試聴レポート 使用システム  CD/SACD PLAYER 兼 DAC TAD-D1000MK2 ¥1,60,000   http://tad-labs.com/jp/consumer/d1000mk2/  PRE AMPLIFIER TAD-C2000 ¥1,900,000   http://tad-labs.com/jp/consumer/c2000/  POWER AMPLIFIER TAD-M2500MK2 ¥1,680,000   http://tad-labs.com/jp/consumer/m2500mk2/ まずはEVER GREEN /秦 基博 より ♪アイ  http://www.e-onkyo.com/music/album/aucl167/ この曲は最近お気にいのりハイレゾ音源で使用することも多いのですが、弾き語り にVersionになっており、ギターの音とVOCALが非常に良く録音されております。 一聴して今までのTADサウンドから一歩脱却したように感じました。一番は高域。 今まではモニター色がある意味TADの特徴だったのですが、高域にアクセントを持た せており、良い意味で純度が上がったように聞こえます。ギターの余韻も以前より 残りステージ感があります。中域の厚みはサイズの問題で薄い部分もありますが、 それよりも透明感と響きに耳を奪われてしまいます。 それと従来のタイプよりもスピーカーの外まで音が広がっているように感じます。 音が前に来るという点ではこちらもサイズの問題もあるかと思いますが、少し奥に 聞こえます。私はこれはこれで好きですね。 VOCALの高さも個人的には好きな位置に定位してくれ、スタンドの高さもほど良い位 置に感じました。 Greatest Hits/Queen より ♪Killer Queen  http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602557033960/ こちらは音の厚みといった面ではTAD色が薄くなっているイメージがぬぐえないです が、スネアの響き、シンバルの響きは非常に心地よいリズムを刻んでくれておりま す。気のせいかスピードが上がって聞こえてきます。中低域によるグルーブ感より も、中高域のリズム感が増した印象です。 今回クロスオーバーを変えておりますが、音のつながりもスムースで、うまく低域 と同軸ユニット(CST)をつなげております。この辺りにもポイントがあるのではな いでしょうか。 Premium Ivory -The Best Songs Of All Time-/今井 美樹より ♪太陽のメロディ  http://www.e-onkyo.com/music/album/tyct60071/ こちらはアカペラから始まるコブクロ小渕健太郎、今井美樹、布袋寅泰の 合作の曲となります。 おそらくスタジオでイメージしている音は従来のTADサウンドなのかもしれませんが、 聞いててうっとりするのは今回のME1かもしれません。どうしても上位モデルのCE1 と比較してしまいますが、こういった小編成で透明感のある女性VOCALでしたら個人 的にはME1の方が好みかもしれません。 Khachaturian, A.I.:Violin Concerto in D Minor / Prokofiev, S.:ViolinConce rto No. 1 / Glazunov, A.K.:Violin Concerto, Op. 82 /ユリア・フィッシャー Aram Il'yich Khachaturian:Violin Concerto III. Allegro  http://www.e-onkyo.com/music/album/ptc51860594/ 以前よりもやはり響きといった面ではスピーカーの外まで音が漂う感じがあります。 特に音の消え際などの余韻成分は今まで以上に多く感じます。ただどうしても芯と いった面での音の支え方は軽くなって聞こえてしまいます。どうしてもないものね だりになってしまいますが、あくまでも上位モデルと比較すればの話で100万という 価格でしたら納得の音作りではないかと思います。 We Get Requests/The Oscar Peterson Trioより ♪You Look Good To Me TADらしさをしっかり継承しつつ、小気味よいテンポでリズミカルに聞こえます。 ただどうしてもリアルTADサウンドの従来のモデルからすると色を付けており、ス ケールダウンの印象を持ってしまいます。実際はコストを考えると当たり前ですが、 これで中域の厚みがもう少しあればとと思ってしまいます。ただこの辺りは基本モ ニターサウンドのTADですので、ケーブルや置き方で追い込んでいけばもっと好みの 音に仕上げられると思います。 総評としてはTADサウンドをしっかり残しながら、新たな世界に足を踏み込んだTAD サウンドを私は今回高く評価しております。2003年に産声をあげ、それから13年の 中で培ったテクノロジーとコンシュマーオーディオに対するものが変わってきたと も言えます。今までのTADをお持ちのお客様からすると若くなったイメージは持たれ るかもしれませんが、実際家庭環境で使用するにはこちらのME1の音の方が理解され やすいと思います。 ブックシェルフにはサイズでは語れない魅力があります。 私が知っている名機としてもかなり多くのモデルが出てきます。 個人的にはCelestion SL700、ACOUSITC ENERGY AE2、Sonusfaber AMATOR、 GUARNERI HOMAGE、ENSENBLE REFERENCE、ARTEMIS EOS、PLUTINUM REFERENCE、 最近ではAUDIO MACHINA CRMも非常に評価が高く、TANNOY AUTOGRAPH MINIも 非常に評判が高く、ユーザさんが多いのではないかと思います。 また絶対王者のB&W 805シリーズ。 このTAD-ME1を試聴した時にこういった名機達を想像することが出来ました。 特にCelestion、AEなどと相通じる一面もあるのではないかと思います。 今までTADの印象とは違った一面を持ち合わせておりますので、是非一度ご試聴いた だければと思います。                       2016年10月29日 H.A.L.3 島 健悟