VOL.101 MONITOR AUDIO PL500 II 製品レポート

MONITOR AUDIO PL500 II 定価¥3,200,000(税別) 受注生産 COLOR:NATURAL EBONY / SANTOS ROSEWOOD / PIANO BLACK 本日は今年発売されたMONITOR AUDIOのフラッグシップモデルPL500 IIをご紹介させ ていただきます。 MONITOR AUDIOは1973年に英国で創業したスピーカーブランドメーカーです。 当時の輸入代理店はハイファイジャパンでしたが、昨年より(株)ナスペックに代 理店が変更しました。それとほぼ当時にPlatinumシリーズがIIになりました。 4F H.A.L.3ではハイファイジャパン取扱い時代からPL300の展示を行っておりました が、今回フラッグシップモデルのPL500 IIに変更して展示を開始いたしました。 MONITOR AUDIOはランナップがかなり豊富で、Raiusシリーズ、BRONZE(ブロンズ)、 シリーズ、SILVER(シルバー)、GOLD(ゴールド)シリーズ、そしてPLATINUM(プ ラチナム)シリーズと価格が上がっていきます。 そのラインナップ以外にもAVを意識した小型モデル、カジュアルなシステムなど揃 えております。 ここまでのランナップがあるということは、やはり世界的な評価が高い証ではない かと思います。 また今回輸入代理店が(株)ナスペックに変更になったとお話しさせていただきま したが、なんと新シリーズのお披露目は英国大使館で行うという力の入れようでし た。試聴会の冒頭には英国大使館の方がご挨拶されておりました。私も参加させて いただきましたが、立派な試聴会でした。 しかしこのサイズに驚きを覚えてしまいます。 サイズは横幅504mm x 高さ1848mm x 奥行626mm、重量は99kg 梱包状態は木箱に入っており、その木箱がかなり重く、梱包時は124kgになります。 実際納品はピアノ運送になるかと思います。 さてその高さ1848mmということになると、WILSON AUDIOのフラッグシップモデル Alexandria XLFが1784mm、AVALONのSentinelが1730mmですので、その高さがご理解 いただけるのではないでしょうか。 以前から感じておりましたが、やはりコストパフォーマンスの高さがMONITOR AUDIO の特徴の一つかもしれません。 さて構造的には3way 7スピーカー バスレフ になりますが、ウーファーユニットが 4本。メーカーによってはスタガー方式で帯域を変えていたりしますが、4本とも同 じ音が出ております。中心には独自開発のマイクロ・プリーテッド・ダイアフラム を採用し、それを挟むようにスコーカーが取り付けてあります。 こういった構造をバーチカルツインと言い方をしますが、DYNAUDIOが有名ですね。 実際このPL500 IIを最初に見た時にそういった印象をもってしまいました。 今回のPLシリーズ(プラチナムシリーズ)の特徴をご説明していきます。 ●MPDトランジューサー   ツィーターの部分ですが、MPD(マイクロ・プレーテッド・ダイアフラム)トランジ ューサーという自社開発のユニットになります。 特徴としては、コンデンサー型ドライバーに近く、また表面積を稼ぐためにフィラ メントをアコーディオン型にして採用しております。一般的に言われるドームツ ィーターのサイズからすると8倍の表面積をこのサイズに収めることが出来ておりま す。こちらは100kHzの帯域まで再生を実現 ●RDT IIドライバー   ウーファーユニット      ユニットは背面からテンション     独自のバスレフポート    ロッド1本で固定 ミッドレンジ、ウーファーユニットともRDT(リジッド・ダイアフラム・テクノロ ジー)IIドライバーを採用しております。 C-CAMということで、セラミック・コーンデット・アルミニウム/ マグネシウム合金と裏にはカーボンファイバーを重ねたサンドイッチ構造になって おります。中心にはNOMEX複合素材で作られた蜂の巣状のものになっております。 ユニット裏面にはダイナミック・カップリング・フィルターを搭載。 ユニットは背面からテンションロッド1本で固定 ●スピーカーターミナル   ロジウムメッキを採用したバイワイヤーターミナル 外形3.6mmの裸線も対応 向かって右から+LOW、+HIGH、−LOW、−HIGH ジャンパーケーブルはYラグタイプが付属 ●ベース部分   ネットワークはベース部分に装備 4点支持のスパイクが推奨ですが、スパイクを外しての設置も可能 スパイク部分は高張力銅にロジウムメッキ 仕様  形式:3way 7スピーカー バスレフ フロアースタンディング  ユニット:MPD トランスデューサーx1, 100mm RDT II Midドライバーx2,   200mm RDT II Bassドライバーx4  周波数特性:22Hz - 100kHz  クロスオーバー:MF/HF: 3.6kHz, LF/MF: 460Hz  感度:91dB  インピーダンス:4Ω  サイズ(W×H×D) :504 x 1848 x 626mm  重量(1台):99.1kg  そのほかに関しましては輸入代理店ナスペックのページをご覧ください。  http://naspecaudio.com/monitor-audio/platinum-series-ii/ それでは、試聴に入らせていただきます。 使用システム  サーバー FIDATA HFAS1-H40(HDD)  D/A CONVERTER CHORD DAVE  PRE AMPLIFIER LUXMAN C-900U  POWER AMPLIFIER LUXMAN M-900U まずいつもの聞き慣れた ・時のまにまにIII 〜ひこうき雲〜/ 井筒香奈江 より ひこうき雲  購入先はこちら  http://www.e-onkyo.com/music/album/lb023/ を試聴しました。 正直を申しますと4Fの試聴室では聞き慣れない音の出方をしました。 これがバーチカルツインの音なのかもしれませんが、音が面で飛んでくる感じがし ます。またエネルギー感が強すぎでまとわりつく感じが否めませんでした。 4Fの試聴室ではスピーカーの位置をすべてにおいて同じ場所にセッティングを行っ ております。また試聴位置も決めております。 ただ以前も同じことが起きたことがあります。 WILSON AUDIO MAXX3、AVALON ISIS、VIVID AUDIO G1などですが、やはりサイズの 大きいスピーカーはセッティングから行わなくてはいけないです。 ということで、スピーカーの間隔を広げ、その後試聴ポジションをいつもより下げ た状態で試聴を行いました。 そうすると先ほどよりもはるかに素晴らしいサウンドが出てきてくれました。 ここから再度試聴を行いました。先に話をすると2時間ぐらいひきこもって、いろい ろなジャンルの音楽を試しましたが、分析的にというよりもあまり聞き慣れない音 の出方はしているものの、次々に音楽を聴きたくなり、あっというまに時間が経過 しました。 まずバーチカルツインは半ば同軸の考え方に近いのではないかと思います。 VOCALの出方としては音像が少し大きめに出て、少し前で定位しますが、その音がな んとも心地よくリアルに感じます。スピーカーによってはVOCALが上下してしまう場 合もありますが、それがこのPL500 IIですとそれを全く感じさせず、あたかもそこで 歌っているかのごとく実寸大の感じがします。 点と面の違いかもしれませんが、コンデンサー型スピーカーを好きな方、ホーン型 を好きな方、同軸ユニットが好きな方などいると思いますが、その良いとこどりを している感もあります。 ・永遠 / 鼓童 より 直線アンコール  購入先はこちら  http://www.e-onkyo.com/music/album/od015/ こちらは大太鼓になりますが、スケール感のある大太鼓の音を楽しむことが出来ま す。ウーファーユニット4基ですので、その量感はありますが、ただ沈み込みといっ た面ではまだまだ大型口径のものとまではいかないですが、この量感は聞いてて楽 しくなります。またバスレフポートのコントロールの仕方はちょっと難しいかもし れませんが、あくまでも量の問題で、変な癖は感じません。ここのバスレフポート も色々と研究されており、それが音に表れております。 実に生っぽいステージを出してくれております。 ・Berlioz: Symphonie fantastique[Live]   /Los Angeles Philharmonic , Gustavo Dudamel より  Berlioz: Symphonie fantastique, Op.14 - 5. Songe d'une nuit du  購入先はこちら  http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028947943747/ 情報量も多く、ステージ感、スケール感とも申し分ありませんが、少し硬質的なと ころと音の広がり、立体感といった面では弱い一面もあるかとは思います。 ただ4Fの試聴室ですと、部屋のサイズやボリュームも出せることもあり、スタジオ 録音からライブ録音までそつなくこなしてくれるオールマイティーなスピーカーに 感じました。 正直一般的なご家庭のスペースですとどうしても高さがありますので、厳しいとこ ろがあります。 その点廉価モデルのPL300IIですと、バーチカルツインではないですが、バランスの 良さと少し明るい音色とコストパフォーマンスを感じることが出来るのではないか と思います。 特に低域が、高域が、音楽性がということではなく、単純に音楽を楽しめて、それ でいてモニター調ではないというところにMONITOR AUDIOの魅力を感じることが出来 ました。 是非PL500 IIが持つ音楽性を感じ取っていただければと思います。                          2016年8月26日 H.A.L.3 島 おまけ   先日発売された音楽の友社のSTEREOにてPL500 IIが紹介されております。 その撮影現場はこの4F H.A.L.3 試聴室です。 評論家の藤岡誠氏とお話をすることができ、楽しい時間でした。