VOL.99 YAMAHA NS-5000 REPORT

4F H.A.L.3 試聴室にて先取り試聴しました。(5555 4F 島) 本日はYAMAHA待望の高級スピーカーシステムNS-5000を紹介させていただきます。 YAMAHA NS-5000 定価\1,500,000(税別)     スタンド SPS-5000  \150,000(税別) 製品情報はこちらをご覧ください。 昨年のインターナショナルオーディオショーで復活の話を聞いておりましたが、そ の価格に驚いたことを覚えております。 今年の5月に販売店向けの試聴会にも参加させていただきましたが、先日ヤマハさん のご厚意でH.A.L.3の試聴室でも聞かせてもらうことができました。
さて試聴レポートは後半にてご紹介させていただくとして、皆様の中にヤマハにど んなイメージを持たれておりますでしょうか? バイク好きなお客様?楽器好きなお客様?マリンスポーツ?音楽関係者?そして オーディオ? ヤマハは発動機事業で、バイク、電動自転車、そしてヨット、マリンジェットな ども手掛けておりますので、そちらでも有名だと思います。 音楽事業としては、ピアノ、ギター、ドラムは有名ですが、フルートからヴァイオ リンまで多くの楽器を制作しております。私も一時期ギターを所有しておりました。 CMでも放送しておりますが、ヤマハ音楽教室も印象に残ります。 更にプロオーディオとして、ミキサー、プロ用のパワーアンプ、スピーカーエフェ クターなど制作をしております。 コンシューマーオーディオとしても多くの製品を世に送り出してきました。 中学生の時代から音楽に夢中になっておりましたので、ヤマハのポピュラーコンテ スト(ポプコン)、その後聴き継がれたバンドの登竜門的なTEENS' MUSIC FESTIVAL などもヤマハの印象を強くさせます。 音楽事務所もヤマハミュージックコミュニケーションがあり、中島みゆきを筆頭と して多くのアーティストを抱えております。最近移籍しましたが手嶌葵もデビュー 当時はヤマハでした。 個人的にも色々な面でお世話になっており、楽器関連ではギター、エフェクター、 にもお世話になりましたが、MTR(マルチチャンネルレコーダー)のMT4(カセッ ト)、その後にMD8(MD)に買い替えをして音楽を作っていたのも非常に懐かしいで す。 オーディオで言えば入社以前より、中古でプリアンプのC2Aとプロ用のパワーアンプ を使って音楽を聴いていたことを思い出します。 (今は使用しておりませんが) その当時から欲しいスピーカーNO1がYAMAHAのNS-1000でした。 入社後直ぐはあまりご縁が無かったのですが、オーディオヴィジュアルフロアを任 された時はAVアンプのDSP-A1を販売しておりました。 話し出すと止まらなくなるのですが、私の中での憧れはアナログプレーヤーの GT-2000、そしてCD PLAYERのGT-CD1。中古で出てくると今でも胸が躍ります。 こういう素晴らしい製品を制作しておりましたが、暫くはAV関連の製品が多く、な かなかご縁が無かったのですが、2013年に発売されたCD/SACD PLAYERのCD-S3000、 プリメインアンプのA-S3000でハイエンドオーディオへの復活の兆しを感じておりま した。 今回のNS-5000に関しては、復活というよりも実際のところは価格を考えると、 チャレンジという部分も感じ取れますが、その裏側には相当な努力と自信が裏付けら れると思います。 直接開発の方にお話を伺いましたが、ユニット開発には7年の歳月がかかったとのこ とです。 また最終の音決めもぎりぎりまでかかったとのことです。 前置きが長くなりましたが、ハイエンドスピーカーとして真の復活を遂げたYAMAHA NS-5000の試聴レポートをお届けいたします。 試聴システム ミュージックサーバー DELA HA-N1Z  CD/SACD PLAYER ESOTERIC K-01X \1,450,000 プリアンプ   ESOTERIC C-02X \1,400,000 パワーアンプ  ESOTERIC GRANDIOSO S1 \1,900,000 ■LIVE LIFE /大橋純子  シルエットロマンス(flac 96kHz/24bit) 最近その音質の良さでリファレンス音源となっております。 設計者さんは「忠実」なという言葉を使用することが多いかと思いますが、NS-5000 は個人的にはニュートラルなイメージを持つことができませんでした。 それは自分の中でニュートラルなスピーカー=モニタースピーカーでスタジオでの評 価が高いものになります。 ここで私の中でベクトルが大きく分かれての試聴になります。 このNS-5000はまず聞いてて麗しい感じと、さわやかな気持ちになれるスピーカーに 感じました。オーディオ的な感覚で聴かせるのではなく、そこにYAMAHA独特の音楽 性を感じることができました。これは私の中では大きな褒め言葉になります。 大橋さんの伸びやかなサウンドと誇張しない演奏。前に出てくる訳でもなく、程 よい位置に定位しております。爽やかというのが今回のユニット素材ZYLONに起因す るところかは解りませんが、透明感とその純度の高さを感じることができました。 ユニットも同素材ということで音のつながりも抜群ですが、気になった部分があり ました。ウーファーとミッドレンジのクロスオーバーが750Hzということですが、そ の辺りでどちらかのユニットに引っ張られてしまうことです。おそらく素性が良 すぎてそう感じてしまうのだと思いますが、VOCALの口の位置が変わってしまことで した。ただ他のVOCALを聴くと違和感のないソースもありますが、この曲は何故か気 になってしまいました。本体の高さが690 スタンドが304 足すと994mm 。価格 ゾーンもありますが、通常展示している聞きなれているスピーカーより背が低いと いうこともそう感じたのかもしれません。そこでスタンドの下に5cmほどのKRIPTON のボードを敷いてみました。さすがKRIPTON VOCALが引き締まり純度が上がります ね。音の高さ表現も良くなり、そのままの位置よりは気にならなくなりました。 個人的にはもう少し高さがあったほうが良いかなとは思いますがいずれにしてもそ の純度は聞いてて気持ち良いですね。 ■Berlioz: Symphonie fantastique[Live]    /Los Angeles Philharmonic , Gustavo Dudamel 第5楽章 Songe d'une nuit du(96kHz/24bit) この曲も最近のリファレンスになっておりますが、静寂感、エネルギ感、一体感な どが非常に解りやすい音源となっております。 さてウーファーサイズが30cmとなるとB&Wでいうと800になります。H.A.L.3では 通常25cmウーファーがスタンダードですので、この低域のエネルギー感は新鮮さを 覚えてしまいます。また一般的な箱型にも関わらずスピーカーの存在をうまく消す ことが出来ており、箱なり的なところをあまり感じませんでした。。またリスニング ポジションが広くとれ、スィートスポットから離れても違和感を感じないところも実 に素晴らしいと思います。 楽器の位置が鮮明に見える情報量もあり、解放感もあり、またエネルギー感も感じ ることができました。奥行や立体感に関しても、誇張しすぎることなく自然に感じ ます。ユニットの素材の音で好き嫌いが出てくるのはどのスピーカーも同じだと思 いますが、私個人的には素直に受け入れられる音になります。 先入観でもっと偏ったジャンルに絞られるかと思いましたが、幅広いジャンルで楽 しめるスピーカーに感じました。 さてこの曲は鐘の音が中盤で出てきますが、非常にリアルに感じますが、やはり高 さ表現に関しては、もう少しセッティングで追い込んでみたい気がします。 ■1984 / VAN HALEN  Panama(FALC 192kHz/24bit) 左から始まるディストーションのかかったギター、そしてドラムの張りのあるリズ ム。これはグルーブ感があり非常に軽快に感じます。特にこの曲は深く聞くという よりも80年代アメリカンロック的なノリで聞きたいイメージもありこのNS-5000はピ ッタリはまりますね。透明感を持ちながらユニットの反応の良さから、スピード感 とグルーブ感を感じることができました。やはり30cmウーファーが下支えする安定 感は聞いていて安心感を覚えてしまいます。ただヴォリュームを下げた時に物足り なく感じるは大型口径のデメリットを感じてしまいます。 さて総評としては30cmウーファーによる音楽の安定感、そして同素材のユニット ZYLONを使用したバランスの良さ、そしてサウンドステージの広さと誇張させない音 楽性。モニター的な部分もありながら、それでいて音楽を楽しく聞かせるといった ところがこのNS-5000の魅力かもしれません。 特徴がないかと言われれば正直あります。それがまた面白く聞かせてくれます。 深みで聞かせるというよりも、入っている情報、そしてアンプの能力を引き出すと いうスピーカーになるかと思いますが、素晴らしいスピーカーだと思います。 どうしても海外に押されてしまっているところがある国産スピーカーですが、 是非先入観無しで聞いていただきたスピーカーです。 入荷は8月初旬になる予定で、またイベントも開催を予定しております。 是非新たなYAMAHAサウンドをご体験ください。                           2016年7月10日 島 健悟