VOL.91 ESOTERIC C-02X & S-02

   
   

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ESOTERIC C-O2X プリアンプ            ESOTERIC S-02 パワーアンプ
       
  定価 \1,400,000(税別)               定価 \1,400,000(税別)
			  

高級モデルGrandioso登場以来、新製品の開発に余念のないESOTERICより2015年4月
に新しいアンプが発売されました。
それが今回ご紹介させていただくプリアンプのC-02XとパワーアンプのS-02となりま
す。
通常ESOTERICはパワーアンプを先行して発売することが多いイメージがありますが、
今回は両方同時発売となっており、よりセットでの提案、そして音作りを意識して
いるのではないかと思います。


最近数が増えてきておりますので、まずはライナップの紹介をさせていただきます。
(型番をクリックするとメーカーページが開きます)


≪CD/SACD PLAYER≫
 K-07X
\430,000
 K-05X
\580,000
 K-03X
\900,000
 K-01X
\1,450,000
≪CD TRANSPORT≫
 P-05
\600,000
 P-02
\1,400,000
 Grandioso P1
\2,500,000
≪D/A CONVERTER≫
 D-07X
\300,000
 D-05
\600,000
 D-02
\1,400,000
 Grandioso D1
\2,500,000
≪プリメインアンプ≫
 AZ-1S
\350,000
 I-05
\400,000
 I-03
\600,000
≪プリアンプ≫
 C-03X
\8000,000
 C-02X
\1,400,000
 Grandioso C1
\2,500,000
                                  ≪パワーアンプ≫
 A-03
\900,000
 S-02
\1,400,000
 Grandioso S1
\1,900,000
 Grandioso M1
\2,800,000
                           ≪ETC≫
フォノアンプ CLOCK GENERATOR CLOCK GENERATOR MUSIC SYSTEM
 E-03
\400,000
 G-02
\350,000
 G-01
\1,350,000
 RZ-1
\350,000
特にアンプ類はラインナップも増え、スピーカーを除くシステム一式での提案の考 え方が強くなっております。 その中でも今回は非常に評価の高いフラッグシップモデルGrandiosoの血を継承した この2モデルをご紹介させていただきます。 C-02X 技術資料はこちらをご覧ください。 スペックはこちらをご覧ください。 取扱説明書はこちらをご覧ください。 S-02 技術資料はこちらをご覧ください。 スペックはこちらをご覧ください。 取扱説明書はこちらをご覧ください。 ESOTERICのプリアンプの歴史は2008年3月にC-03というモデルからスタートしました。 それから2012年の年末に当時のフラッグシップモデルとしてC-02、時を同じくし てC-03のブラッシュアップモデルのC-03Xを発売いたしました。それから2014年にGr andiosoのC1を発表しました。そのテクノロジーと音楽感を継承した今回ご紹介させ ていただくC-02Xを2015年4月に発売を開始いたしました。 デュアルモノラルアンプ、フルバランス回路といった面では前モデルと考え方は同 じですが、今回は基盤の見直し、そして一番の注目点としては電流伝送を強化したE SOTERIC-HCLD(出力バッファー+EDLC)安定化電源。ここにはかなりのこだわりを持 っているとのことです。 フロントパネルに関しましては、シンプルにまとめており、またブルーのライトが 高級感を醸し出しております。 リモコンを使った設定として MENU1 ●Balance (左右のバランス調整 ±6dB)) ●Level (入力ゲイン ±18dB) ●Inverte (OFFで2番HOT、ONで3番HOT)   MENU2(MENUボタン長押し)   ●VolMode(ヴォリュームカーブ:A,B,C,D,E,db)       こちらは説明書でご確認ください。 ●OUT  (出力設定: XLR、RCA、BOTH) ●Light (ノブ回りの照明:AUTO、ON、OFF) ●入力ソースの設定(名前の変更が可能) ●FlaOFF (自動ディスプレイ消灯:15m、30m、60m、OFF) パワーアンプに関しましてはモノラルアンプのA70、A80、ステレオA-02などを経て、 S-02あh生まれました。 このS-02の魅力はまずは940VAのEI方式のトランス。そしてダンピングファクターで 1000という数値が物語る絶対的な安定感。LIDSC回路(Low Impedance Drive Stage Coupling)の採用で駆動力が上がっているところも特徴の一つですね。 プリにしても、パワーアンプにしても今までの製品をブラッシュアップしたという よりも、Grandiosoで培ったノウハウを使って、Grandiosoの廉価モデルを作ったと いうほうが良いかもしれません。 それでは、試聴に入らせていただきます。 使用システム CD/SACD PLAYER  ESOTERIC K-01X \1,450,000 PRE AMPLIFIER  ESOTERIC C-02X \1,400,000 POWER AMPLIFIER ESOTERIC S-02  \1,400,000 SPEAKER B&W   800Diamond \3,400,000 ESOTERICの試聴ということで、まずはESOTERICのSACDよりギュンター・ヴァント指 揮ベートーヴェン交響曲全集より交響曲第6番田園の第一楽章。 実は電源をつけて直後だったせいか音の抜けもあまり良くなく、これはと思い、リ ピートをかけて、30分後に再試聴を行いました。 やはりパワーアンプがAB級ということもあり、ウォーミングアップにはちょっと時 間がかかるようです。また高級なプリアンプになると電源にも物量投資を行って おりますので、やはりウォーミングアップには時間がかかります。 さて時間をおいて再試聴を行いましたが、まず音ではなく、音楽表現の豊かさ。ど うしても最初は音のクオリティを重視して試聴してしまいますが、それを飛び越え て今までESOTERICでは感じたことのない爽やかさ、みずみずしさを感じることがで きました。 オーディオ的な解釈としては、特に音の強弱がうまく表現され、音の消えた時と、 次に静かに入ってくる音の間といえば良いのでしょうか。その部分の表現の仕方が 非常に素晴らしく、ゾクッとする部分もありました。楽器の位置が明確に解るとい うのは昔からESOTERICが得意としていたところですが、これは嫌味的な表現に当た るかもしれませんが、以前のモデルはそれが若干無機質に演奏しているように感じ ました。しかし今回は演奏家が表現したいところをESOTERICがうまくフィルタリン グして心地よい再生をさせているように感じます。 クラシックに関しましては、私も精通している訳ではないですが、指揮者によって 解釈の仕方が違います。だからこそこの指揮者の演奏が好きというものが出てくる と思いますが、ある意味指揮者≒ESOTERIC といったサウンドと思えるほどです。 まったくベクトルが変わったわけではありませんが、Master Sound Worksと掲げて おりますが、その中でも音楽自体のとらえ方が良い意味で変わってきております。 次にショルティ指揮のエルガーの威風堂々。冒頭のダイナミックな始まりにも 弦楽器、管楽器、打楽器の音楽表現が混濁することなくうまく伝わってきます。 ここで良くなったと感じた点は低域の質の高さ。量感はやや控えめかもしれません が、しっかり低域をコントロールすることで中高域が非常に引き立ちます。これは ESOTERICの設計思想である駆動力の見直しというところも非常に良く理解できまし た。 全体的にはエネルギッシュというよりも一歩引くことで、全体像を浮かび上がらせ ております。この曲の魅力の一つはその後のメロディアスな旋律にありますが、程 よい安堵感を新たなESOTERICの音楽表現がもたらしてくれます。 写真的な表現に程よい色彩感をうまくミックスさせている表現が今回の大きな特徴 かもしれません。 次に女性VOCALとして最近試聴で良く使用する中島みゆき 歌姫コンサートツアー 2007から誕生を試聴しました。 透明感とステージ感、そして奥行感、情報量とも良い具合でバランスが取れており ます。ただ中域に若干のもたつきを感じます。このあたりが色々な要素を引き出すE SOTERICの難しさなのかもしれません。その原因がESOTERICなのか繋いでいるケーブ ルなのか、電源周りなのか。もう少し検証したいところです。それとこれも個性か と思いますが、若々しく感じます。国産をはじめ、海外製品も含めて多くの機種を 聞いてきましたが、その中でもESOTERICトーンは純度が高いせいもあり、フレッシ ュに感じます。 そこで手嶌葵の虹の歌集より奇跡の星を試聴しましたが、これは艶やかで、VOCALが 浮かび上がり、ギターの弦の響きも非常に良くにんまりしてしまいます。 海外製品の場合は特に顕著に得意不得意が出てきますが、このESOTERICの場合は音 の絶対クオリティを持った上で音楽の表現で好き嫌いが出てくるように感じます。 それは私にとってはある意味ほめ言葉で、だから「ESOTERIC」を選ぶというお客様 の顔が見えた気がします。 その後も楽しくなり、古いジャズ、フュージョン、ロック、クラシックもジャンル を変えて10数枚試聴しましたが、本当に面白く、楽しく試聴することができました。 「楽しい」という表現は聞き所をしっかり聞かせてくれることにあると思います。 全体的なポイントとしてはダンピングの効いた低域によって音楽自体に安定感が出 て、癖がないサウンドに聞こえます。これは音楽ジャンル問わずその良さは感じる ことができました。また録音の良いものは良く、悪いものは悪くではなく、悪いも のでもうまくオブラートに包み、良さを発揮させている点も非常に高評価です。 音楽の深み、陰影といったところは他のメーカーと比べると物足りないですが、逆 にこれを強調してしまうと良さが消えてしまうと思いますので、私はこれはこれで 良いかなとは思います。クラシック好きのお客様でもウィーンフィルが好きな方、 ベルリンフィルが好きな方、コンセルトヘボウが好きな方と別れるのと同じかもし れません。 ただESOTERICにしか出せない表現が音というクオリティだけではなく、その音楽性 をより強いものにしたことが今のESOTERICでしょう。 ESOTERIC関係者と話をすることも多々ありますが、以前好みではなかったというお 客様がGrandiosoになって好きになったという話もあります。デジタル系を得意とし てきたESOTERICですが、Master Sound Worksというポリシーの中で、スタジオエン ジニアの意見を参考にしたり、お客様の意見を参考にしたりと日夜音、音楽に関す る研究を行っており、このアンプの音作りも本当に時間をかけてやってきました。 その情熱が今ここに開花したと私は正直思います。 好き嫌いがあってこそオーディオは面白いと思いますし、そのサウンドは以前より も磨きがかかり、面白さと楽しさが増しました。 私個人的には以前からのESOTERICサウンドをもちろん継承しているとは思いますが 新世代のESOTERICに変貌を遂げたと思います。 弊社取り扱いブランドとして大手ではラックスマン、TADなどのブランドがあります。 この3社の音は私的には全く違いますし、そもそものサウンドポリシーも各社違いま す。メーカーさんは本当に大変かと思いますが、いちオーディオショップの店員として はこの違いがオーディオの面白さだと感じます。 今までの印象がありましたら一旦取り払っていただき、リセットして 「ESOTERICサウンド」 というものをご体験いただければと思います。 2015年7月4日 H.A.L.3 島