お得意様のK様が Entreq Silver Tellusの試聴レポートをお送りいただけました。

数日間格闘していただきましたが、非常に参考になるご意見でしたので、
皆様にご報告させていただきます。

K様 使用システムは

 CD PLAYER:     METRONOME CD3 Signature

 PREAMPLIFIER:   VIOLA CADENZA(電源部と本体のセパレートタイプ)   

 POWER AMPLIFIER: VIOLA SYMPHONY

 SPEAKER SYSTEM: B&W 802D

 電源 RGPC SUBSTAITON 2台(CD PLAYER、AMPLIFIER)
            400pro      2台(CD PLAYER、AMPLIFIER)

Entreq Silver Tellus 試聴レポート                 4月13日(日)     本日開封しました。Silver Tellusの背面の端子の使用位置は、  ケーブル1本の場合は左から2番目、ケーブル2本の場合は、  左から2、3番目を使用することにしました。  ケーブルの端子は、断りがない限り金メッキ品を使用しています。  この日の試聴結果は次のとおりです。  試聴に使用したディスクは全てクラシックです。  (翌日のレポートで説明をしております) @ Yラグ1本をプリ本体の背面ネジにつけ、Tellusに接続。  高域の情報量が増し、ステージが上方に上がる。  これはダイヤモンドツィーターの情報量が増したためと考えられる。  これに伴い、楽器の余韻が減衰するのがよく分かる。  また、高域が出ることにより、楽器の音が滑らかに聴こえる。  さらにピアノのタッチが鮮明になり、旋律の線が引き締まる。 A Yラグ2本をプリ本体の異なる背面ネジにつけ、Tellusの2、3番目に接続。   何も接続しない場合に比べ音の輪郭が太くなり、不鮮明になる。 B @の状態にパワー(VIOLAのSYMPHONY)の背面ネジからTellusに接続。   解像感、情報量とも下がり、楽器の定位もあいまいになる。  2台の機器を接続すると、Tellusを介して干渉する可能性あり。 C Bの状態からプリのケーブルを外す(つまり、パワーだけの接続)。   初期状態に比べると解像感は増すが、@ほどの効果はない。  ここまでの実験で、Tellusに接続する機器は1台の方が良い感触を得ました。   以前、RGPCの400Proに2台の機器を接続すると、互いに干渉し合い   音質に悪影響を及ぼしたことがありましたが、その時の音の変化に似ています。 D CD Playerの左側面ネジにYラグをつけ、Tellusに接続。   効果は@よりも絶大。ピアノのタッチはさらに鮮明になり、解像感は比類がない。   @に比べ弦楽器の音は滑らかになり聴感上のS/N比が圧倒的に向上。   情報量は増し、@より音が自然に聴こえる。 E Dの金メッキケーブルをロジウムメッキケーブルに替える。   弦楽器の音に付加的な高域が加わる。本来の弦楽器の音と乖離。 F Dの状態でプリ本体の背面前ネジからTellusに接続。   音の輪郭がぼやけ、情報量も下がる。 以上、@〜Fの実験のまとめです。 1. 効果が最も大きいのはCD Player(D)。S/N比の向上、最高域の再生、解像感は   他の結果を大きく引き離す。 2. 次に効果があるのはプリアンプ(@)。ただし高域はDを聴いた後では荒れ気味に感じる。 3. 次に効果があるのはパワー・アンプ(C)。これはプリ(@)のような高域の荒れはないが、   効果がかなり限定的で、解像感が大幅に増した感じはない。 4. 2台の機器を同時にTellusに接続するのはデメリットが多い。   Tellusを介して2台の機器が互いに干渉するためか。  5. 音楽のリアリティを優先させたい場合は、端子が金メッキのケーブルを使用する。 アコースティック楽器以外の再生で、高域をアップしたい場合はロジウムも可。 なお、本システムは、RGPCのSubStation2台により、すでに雑味の低減が図られているため、 H.A.L.3の試聴会で聴かせていただいたような大幅な雑味の低減は見られませんでした。  また、パワー・アンプにアースをつないだ実験は、後にも先にもBとCだけですが、  これは、Symphonyの背面の空き端子として、フィッシャーという特殊なものしかないために  実験のバリエーションがないというのが主な理由です。 4月14日(月)    昨日の試聴に用いた主なディスクです。 バッハ: 平均律クラヴィーア曲集/リヒテル('70,'73) バッハ: 無伴奏フルートのためのパルティータBWV1013/有田正広('89) ロカテッリ:トラヴェルソ,ファゴット,オルガンのためのソナタ('95) レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア/カラヤン,BPO('69) CD黎明期の古い録音が何点か含まれますし、必ずしも良い録音というわけではなく、 むしろ再生が困難なものから選定しました。  リヒテルの平均律は、もやのかかったようなピアノから、どれだけ鮮明なタッチを  引き出すことができるかが焦点になります。  有田のフルートは、録音のせいか高域がやや神経質な仕上がりなので、  そこをどれくらい無難に聴かせるかが課題です。また残響が豊かなため、  その様子がどのように再現されるかに注目しました。  ロカテッリは変わった組み合わせの三重奏。混濁しがちな三者の音の分離を  見るために選定しました。  レスピーギの録音は古く、ヴァイオリンの音が本来のBPOの弦楽合奏よりも薄く、  高域寄りに収録されています。どこまで現実の音らしく聴かせるかが課題です。 昨日の試聴で、B&Wのダイヤモンドツィーターが働いているのを これほどまでに感じたことは今までになかったです。 MetronomeのPlayerの特性が原因で高域の伸びがないと思っていたのは どうやら間違いだったようですね。 ツィーターからの情報が豊富になったおかげでステージが上方に広がり、 音楽が浮遊している感覚を覚えます。 数年前に初めてH.A.L.3を訪れて聴かせていただいたAvalonのIsisの、 無重力圏に音が浮かぶようなステージ感を思い起こしました。 バッハの無伴奏フルートのソナタでは、楽器から直接録音マイクに届く音と、  ホールの壁や天井から跳ね返ってくる音が自然に減衰してゆく様子が  明確に聴き分けることができます。 これまで、いろいろなアクセサリーを試しましたが、今回の「仮想アース」は、 最も音楽的な変化をもたらしたと言えます。 Tellusを全国のオーディオファンに先駆けて導入できたのは本当に幸せだと思います。 4月15日(火)    実は、本日もあれこれやっていまして、 Cadenzaの電源部におそるおそるYラグを接続してみました。 13日のレポートは、本体の背面ネジに接続していたのです。 本日は、本体と電源部の比較試聴をしていないので結果は後日レポートしますが、 日曜日の実験でCDPに接続した場合(D)とプリ本体(@)の音の違いが なぜ出るのかいろいろ考えを巡らせた結果、 「仮想アースをとることにより、機器本来の特徴が前面に押し出されるから」という、 ごく当然の結論に達しました。 4月17日(木)    さて、一昨日予告いたしましたCadenzaの本体背面と電源部背面の比較試聴を 昨日行いました。今回はトーナメント方式での実験です。 G【プリ本体背面ネジにYラグ接続】vs.【プリ電源部の背面スリットにYラグ挿入】 Cadenza電源部のネジが小さかったため、ネジは外さず背面にある幅4mm程度の スリット状の穴に、Yラグの一方だけを差し込んで試聴を行いました。   すると、これまで聴いたことのない、豊穣な音の洪水が! その音は、低域はどう、高域はどうなんていう感想が無意味なほどで ロカテッリの音楽で、各楽器がほのかな色香を発散し、ステージが目の前に展開され、 これまで体験したことのない世界が広がっています。 それに比べると、本体部にYラグ接続した音(@)はレスピーギのヴァイオリンを中心に   ハイ上がりで、とても聴けたものではありません。    想像するに、本体からアースをとると、電源部からの迷走電流を本体に引き込み、 それが悪影響を及ぼすのではないかと思われます。 4月13日の@の実験は、まとめ2.によると「高域が荒れている」ということですが、   正にこのことを言っているのでしょう。     それにしてもこの音はスゴい。笑ったのは、我が家の猫が、普段の試聴では   隣の和室の押入れに逃げ込んでしまうのに、この時は私の膝の上に乗り、 スヤスヤと眠り始めたことです。猫の方が可聴域は圧倒的に広いですから(〜60kHz) 仮想アースをするまでは、CDの信号以外の高調波成分を聴かされて   辟易としていたのかも知れませんね(笑) H【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】vs.【CDP側面ネジにYラグ接続】 CDPへの接続と良い勝負になるかなと思いつつ、この対戦を実施しました。 しかし結果は大ハズレ! どのディスクでもプリ電源部の圧勝です。 バッハの平均律では、リヒテルのピアノが近くに移動した感じです。 しかも、ピアノの余韻と周囲の静けさの対比が際立っています。 それに比べるとCDPの方は解像感がかなり低く、ステージもプリ電源部と比較すると やや奥に引っ込んでいます。 プリ電源部への接続は、CDPへの接続よりも解像感が圧倒的に向上しているのが 分かりますが、音楽に神経質なところがなく、実に自然な鳴り方をします。   (ロカテッリでの各楽器の分離の素晴らしさ!) 以上のことから、結果的にはH.A.L.3での結論と全く合致することになります。 Cadenzaの電源部がセパレート式であったため同じ結論に達するまで回り道をしましたが、 おかげで新たな知見を得ることができたので、結果オーライですね。  それにしてもEntreqの仮想アース、システムのグレードが5割くらい増したような、 信じがたいパフォーマンスをします。 なぜプリで最も効果が上がるかと言えば、やはり微小信号を増幅する過程が 実にデリケートだからということなのでしょうね。 そしてCadenzaのユーザーとしては、トム・コランジェロに思いを馳せつつ、 快哉を叫びたくなります。 Silver Tellusは本当に最高です。アースが、オーデイオの中で最も深遠な世界で あることを教えてくれました。 取扱いを決めたオヤイデ電気さんと、いち早く販売をされたH.A.L.3に感謝です! 4月19日(土)    昨日5555さんから届いたケーブル類(XLRプラグ仕様オス2本、同メス2本、RCAプラグ仕様2本)を  使用して、以下の試聴を行いました。なお、プリの背面にはRCA端子とXLR端子のオスがあり、  CD PlayerにはRCA端子が左右2箇所とS/PDIF out端子(デジタル端子とのこと)が1箇所あります。  今回も、Silver Tellusの左から2番目の端子のみを使用しました。 I【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】vs.【CDPのRCA端子(1本)】   CDPの方が音が落ち着く傾向にある。音楽が前に出て奥行きが出る。   比べてプリは高域の情報量が増えるものの、やや皮相的で音楽の奥行きがCDPほど出ない。   (特にレスピーギで)。解像感はほぼ互角。 J【CDPのRCA端子(1本)】vs.【CDPの左側面ネジにYラグ接続】   RCA端子の方が解像感ではるかに優り、情報量も豊か。 K【CDPのRCA端子(1本)】vs.【CDPのS/PDIF out端子にRCAプラグ(1本)】 S/PDIF out端子の使い道は不明だが、こちらの方が音楽がしっとりと落ち着きがある。 RCA端子の方が解像感で少しだけ優る。 L【CDPのRCA端子(1本)】vs.【CDPのRCA端子(2本)】 後者の【CDPのRCA端子(2本)】はTellusの同一端子に接続。 2本にすると、Metronome特有の濃厚で官能的な音が顕著になる。 1本ではやや音が薄味で平板になる(特にレスピーギで)。 CDPにRCA2本接続の組み合わせは、これまでの実験の中で最高の成果か。 M【プリ本体背面RCA(2本)】vs.【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】 RCAはTellusの同一端子(左から2番目)に接続。RCA接続は音像がやや奥まる。 情報量もそれほどでなく、解像感がプリ電源部に比べ落ちる。 が、先日のプリ背面にYラグをネジ止めした際に聴かれた高域の荒れはない。 N【プリ本体背面RCA(2本)】vs.【プリ本体背面XLRオス(2本)】 XLRの方が高域が落ち着き、全体のバランスが良い。 ここで補足を。本日は実験は行いませんでしたが、 プリ本体背面のネジにYラグ接続した場合、高域は荒れましたが(4月13日まとめ2.を参照) NのRCA、XLR端子に接続した場合は高域の荒れはありませんでした。 つまり、筐体からは迷走電流が効率的に除去できず、端子を使用した場合は 筐体よりも効率的に迷走電流を逃がすことができたと推測しています。  (この結果は、後日行ったN'の実験により覆ることになります。) Jの結果を見ても同様で、CDPの場合も筐体よりも端子を使用した方が効率よく   迷走電流を逃すことができるようです。 O【プリ本体背面XLR(2本)】vs.【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】 XLRの方が高域が落ち着くが、解像感はプリ電源部がかなり優る。 上記の実験の結果より、Lの後者の条件【CDPのRCA端子(2本)】とMの後者の条件  【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】の音が特に印象に残ったため、  次の、両者による決勝戦となりました。 P【CDPのRCA端子(2本)】vs.【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】 解像感は互角。プリ電源部の方が高域がリッチ。 CDPの音は官能的でMetronomeの特質が出る。 プリ電源部の音は、CDPよりは端正でオーディオ的な変化(ロカテッリの三重奏曲で)。 以上を踏まえてPの結果を考察すると、どちらが優れているということはなく、 それぞれの機器の特徴が最高度に反映されたということですので、 あとは完全に好き嫌いの次元の話になります(※ この結果は、4月24日に覆ります)。 また、Pの両者を同時にSilver Tellusにつなぐと情報量、解像感とも落ちるので CDP、プリアンプの最高のパフォーマンスを実現するには、各機器に1台ずつTellusを 使用した方が良いということになります。この結果は実に悩ましいですね。 4月20日(日)     この日は、前日Pの二条件を行ったり来たりして、純粋に音楽を楽しむことにしました。  何となく違和感を感じながら。 4月24日(木)     3日間、耳を完全に休養させ、この日にPとLの追試を行いました。  Pの結果は好き嫌いで良いと書いたけれど、果たして本当なのか?  そこで、試聴ディスクを増やして実験を再開しました。  ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調より第3楽章/カラヤン,BPO('84)  モーツァルト: ピアノ・ソナタイ長調K.331より「トルコ行進曲」/ポミエ('82)  マラン・マレ: La Reveuse/Moreno(テオルボ)('97)  カラヤンのベートーヴェンは私のリファレンスの一つ。H.A.L.3でも必ず使用します。  交響曲第1番は弦楽が主体であり、そこに木管と金管が時折顔をのぞかせます。  大編成ではないのに、録音のせいか再生が以外と難しいディスクです。  ベルリン・フィルのしなやかさと重厚な響きを併せ持つ音を適正に再現するために  微妙なバランスが求められることになり、システムの実力を見るのに好都合です。     ポミエの録音は端正でありながらフランスの雅致を感じさせる良いディスク。  リヒテルの平均律で分からない部分を補完する意味で使用しました。  テオルボで演奏されるマレの名曲。ここで演奏されるテオルボの無類の色気を  どのように再現するかが聴きどころです。 Q PとLの合計三条件をこの3種のディスクで繰り返し比較しました。     a:【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】(Pの追試)    ベートーヴェン:ヴァイオリンパートの高域の再生はしなやかで自然。荒れはない。    モーツァルト :タッチの粒の輪郭がしっかりする。高域は自然に鳴る。    マレ :高音を弾いた後の音の減衰が美しい。   b:【CDPのRCA端子(2本)】(LPの追試)    ベートーヴェン:濃厚に出るはずのヴァイオリン・パートの音がささくれる。     ただオーケストラ全体としては、濃厚。             解像感は、Silver Tellusに接続しない場合よりは出るのだが、            同時に何らかの弊害があることも感じさせる。    モーツァルト :タッチの粒の輪郭は鮮明とは言えない。実験aより濃厚な鳴り方。     高域の荒れは特に感じない。    マレ :実験aと同じ箇所を聴き比べると、音が減衰する際の高域成分が不足。      c:【CDPのRCA端子(1本)】(Lの追試)         ベートーヴェン:ヴァイオリン・パートの高域の再生はしなやかで、荒れない。            オーケストラはRCA2本の時より端正。解像感はある。    モーツァルト :タッチの粒の輪郭は鮮明。高域は自然で、実験aよりもさらに開放的で            気持ちの良い鳴り方。    マレ :実験aと同じ箇所を聴き比べると、減衰する際の高域成分の残り方が            さらに美しい。aと同様に端正な音作りだが、加えてほのかな色気がある。 本日は、この3条件で80分間を要しました。同じ箇所を、これまで以上に何度も何度も 繰り返した結果です。そして、どうやら一つの結論にたどり着きました。 これまでの全ての実験で最も卓越した成果を上げたのは、Q-cの【CDPのRCA端子(1本)】で、  次点はQ-aの【プリ電源部背面ネジにYラグ挿入】  つまり、Lの結果は完全に誤りでした。これについて考えました。  Q-bのように、2箇所からアースを取るのは、実験Aと同様に効果的ではなく、  かえって迷走電流を除去するのに弊害になっている可能性があるのです。  私が聴き損じたのは、CDPのRCA端子から2本のケーブルをSilver Tellusに接続した方が  中低域が豊かになり、音楽的な安定感を感じたためです。このこと自体は良いのですが、、  楽器の編成によっては、どうにも具合の悪い結果になるのです。  Q-aとQ-cは、アースを取る機器が違うので、効果の発現の仕方が違うのだと考えています。  両者の結果の詳細な差異については、翌日の実験に持ち越しとしました。 4月25日(金)     前日の本題に入る前に、思いついたので次の実験から開始しました。 R【CDPの左側面の前ネジ】vs.【同左側面の後ろネジ】vs.【同背面RCA端子(1本)】   実は、今まで【CDPの左側面ネジに接続】とあるのは、左の前方のネジのことでした。   今回初めて左側面の後方にあるネジを使用してみたのです。   すると、前方ネジよりも解像度が上がり、聴きやすくなりました。  しかし、背面RCA端子の解像感には及ばない結果となりました。   迷走電流を効果的に除去するには、場所をよく選ぶ必要がありそうです。 これは機器ごとにいろいろ試してみるしかないと思います。  N'【プリ本体背面RCA(1本)】vs.【プリ本体背面XLRオス(1本)】vs. 【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】 同一機器のRCA端子2本からのアースがだめなら、Nも1本で試験をしなければいけません。   まずは再試験のつもりでNを試すと、ベートーヴェンの交響曲では   BPOのヴァイオリンパートの高域がザワつきました。   1本にするとザワつきは止みましたが、電源部にYラグを挿入した場合に比べると   解像感としては凡庸な結果で、音像はぼやけ、精彩のない音になってしまいます。   やはり迷走電流を電源部から引き込んでいるのが影響しているのでしょう。   NとN'の結果を総合すると、高域の荒れの原因は「プリ電源部から本体への迷走電流の   引き込み」と、「プリ本体に、2本のケーブルでアースに接続したことによる弊害」の   2パターンがあるということになるのでしょうか?  さて、前日に積み残した頂上決戦を行いましょう。  それには、私の大切なリファレンス・ディスク、グールドのゴルトベルク変奏曲('81)に  登場してもらいましょう。第1変奏の歯切れが良く押し出しの強いタッチが  どのように再現されるのか、聴いて見ました。    S【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】vs.【CDPのRCA端子(1本)】   プリ電源部Yラグ:音自体のバランスが実に良い。高域に刺激する成分がなく、   音がなめらかに連なる。ピアノのアタック時の輪郭は           CDPのRCA端子(1本)と比較するとややソフト。        CDPのRCA端子1本:一聴して、グールドのタッチに歯切れが出て、かつ軽くなる。            高域が実に良く抜けて、開放的な雰囲気が出る。  グールドの演奏を知る方には、どちらが好ましい結果か言うまでもないでしょう。   明るく軽快で、スピード感に溢れるグールドのタッチが、どちらの接続で鮮明に   表現されているのか、聴き比べるとすぐに分かります。 4月28日(月)     1枚のディスクで判断するのは心許ないので、もう1枚で試聴をしました。  バッハ:ミサ曲ロ短調BWV232/レオンハルト指揮,ラ・プティット・バンド他('85) S'【プリ電源部背面スリットにYラグ挿入】vs.【CDPのRCA端子(1本)】   プリ電源部Yラグ:Silver Tellusに接続しない場合よりも、上下、左右、前後にステージが           大幅に広がる。ヴァイオリンの音が生々しく、楽器間の分離も良い。 CDPのRCA端子1本:プリ電源部に比べると、ステージの広がり方は控え目。           ヴァイオリンの音は、プリ電源部ほどの生々しい変化はないが、           プリの場合より高い周波数成分が豊富になる。  Sの結果と合わせて考えてみました。音全体の変化率としては、プリ電源部の方が大きいです。  ステージの広がり方が圧倒的で、しかも音楽の躍動感にも驚くばかりです。  MetronomeのCDPに接続した場合は、広がりに関しての変化はプリ電源部ほどではないため、  鮮烈さは感じないのですが、楽器のアタック、特にピアノのような鍵盤楽器では輪郭がはっきりするため  奏者の意図が良く伝わってくるのです。  では、なぜプリ電源部にSilver Tellusを接続しても、ピアノのタッチがはっきりしないのでしょう?  それは、MetronomeのCDPの特性がそのまま反映されているからだということにようやく気づいたのです。  プリに接続している間、CDPにはSilver Tellusは当然つながっていません。  Metronomeの改善前の「やや輪郭のはっきりしない音」がそのままプリに流れ込み、  Sの結果をもたらしていたのです。  試聴で聴かれる音は、あくまでもシステム全体の音ですので、Sのような結果になるのは  やむを得ないことです。  もし、私のケースと異なり、TellusにつながないCDPの音が好みということであれば、  Tellusをプリに接続すれば最大の効果が発揮されることになるでしょう。  どの機器からアースを取るのが良いのかは、結局のところ各ユーザーが決めることだと思います。  CDPとプリアンプのどちらに接続しても好ましい変化が見られたならば、  2台のTellusをCDPとプリのそれぞれに接続すれば、システムの最高の精華が現れるはずです。  「仮想アース」の世界は、まだまだ分からないことばかりですが、かなり奥が深そうです。  使用する機器によっても効果が異なりますし、同一機器内でも、どの端子から取るかにより  結果も違ってきます。いずれ試すことになると思いますが、線材によっても大きく変わることが  予想されます。効果がとても大きいだけに、今後も注目したい製品です。                                                                                                       以上 K様 レポート                                         K様 詳細なレポート改めて感謝申し上げます。 またお疲れ様でした。 私もまだまだ勉強不足であることを痛感いたしました。 またK様のオーディオに対する情熱がひしひしと伝わってきました。 本当に有難うございます。 K様のお言葉で 「これまで、いろいろなアクセサリーを試しましたが、今回の「仮想アース」は、 最も音楽的な変化をもたらしたと言えます。」 「Silver Tellusは本当に最高です。アースが、オーデイオの中で最も深遠な世界で あることを教えてくれました。」 私もお勧めした立場としてこれほどうれしく感じることはありません。 ただケーブルやアースを取る位置でこれだけの差が出るというのも面白いですが、 反面難しい部分も感じることが出来ました。 この製品は本当に奥が深いということも、K様のレポートを見て感じることが出来ました。 店頭での変化と違う部分もございますが、正直なK様の感想として、皆様にお伝えさせていただきます。 2台目のレポート楽しみにお待ちしております。 この度は誠に有難うございました。