「NEWS&MAGAZINE」
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Miles Davis


Miles Davis

Milesのレコードは不思議と増える。どんどん増える。

何なんだこの人は、いつまでたってもひどい人だ。

今頃はマイケルジャクソンのシルク・ド・ソレイユ「IMMORTAL」で話題が持ち切りだ、何が凄いかってこの人達は音楽も徹底的にやる、それはビートルズの「LOVE」でもそうだったように。勿論僕もそれに興奮しているし、僕がリアルタイムで味わった最高のエンターテイナーは彼以外にいないと今から断言出来る。きっと彼がこの地球から姿を消した事の儚くもその悲劇の大きさは、もっともっと時が経ってはじめてわかるだろう。今はまだ追悼という波に乗って死を悲しみながらも沢山の巨大な追悼企画で偲んでいればいいのかもしれないが、その先はどうすればいいのだろう。こういう気持ちはなかなか味わえるものではない。

閑話休題
マイルスは僕が気づいた時にはほどほどに老いぼれたおじさんだった。何となく手にした50年代録音のあの輝かしいレコードを数枚買って針を落としても、その時はあまり感じるものは無かったし、目の前に映る本人を見てそうは思えなかったからかもしれないし古き良き何とか〜というのをちょっと意識的に避けていたというのもあったかもしれない。それでもマイルスのレコードは日に日に増えていった、中古レコード屋では当然のように沢山あるしタイトルの数も同様10枚みれば1枚はマイルスに当たるといっても嘘ではないはず、それが理由かどうかはさておいても僕はレコードを10枚買えば2枚、もしくは1枚は必ずマイルスを入れていた時が続いていた。と言っても買ってきたマイルスのアルバムには殆ど針を落とすわけでもなくラックの端から奇麗に並べられていただけで、手つかずのままどんどん増えていった。と同時に老いぼれたおじさんはテレビでは奇抜なスタイルでジャズとは程遠い音楽をせっせと演奏していたので、どちらかというとそちらのマイルスに興味があり、でも何か変わった事をやるおじさんだなぁとくらいにしか思っていなかったはず。晩年、たまたま僕の好きなアーティストと共演しているのを見たのを最後にほどなくして彼は死んでしまった、というか死んでしまっていた。それでふと自宅のレコードラックに並べられていたレコードを良い機会だから端から順に聴いていこうと思い、多分今頃のようにすごく冷え込んでいたときで、針を落とすのに手が震えていた記憶がはっきりある。結局10枚くらいを一気に聴き込んで、疲れて、寒さも忘れて、最後にはひどく興奮していた。なんでもっと早く聴いていなかったんだろうと後悔するのはよくあることとは言えども、その時ばかりは本当に後悔した。もうあのあおじさんは死んでしまったのだ、去年までテレビで見ていたのにもうこの人はいなくなってしまったんだと。へんてこなおじさんが実はすごいおじさんだったとは、どこかのハリウッド映画でよく見るパターンだがまさにその通りですごいおじさんだった、知らなかった、気づかなかったとはこれほど恐ろしく、幸せな事はない。それからは一日に1枚はマイルスを聴いた、意外にも気づかないうちに聴かないまま増えていたアルバムはかなりの数が揃っていたし、別にマニアと言える程の気負いで聴いたわけではないけど、ただただ聴き続けただけなのだが今までのとは全く違ったマイルスがそこにあったのは大袈裟に言わずとも間違いではなく、実際どれを聴いても無茶苦茶格好良かったからさらに言って間違いでなはないはず。なんでだろう、なんでこんなにかっこういいんだろうと思うのは今でもかわらないし答えもわからない、こんな若造にわかる程かんたんなわけもないがマイルスデイビスは以後長く変わらず大事なレコードのひとつになっている。無茶苦茶でわがままな暴れん坊で繊細であり冷静で寂しがりやな人だと思うし、孤高の天才と言われある時は大きく道を逸らせどもJAZZを背負って歩き続けた結果エネルギーを吸い取られ精も根も尽き果てて死んでいった彼の人生を聴かされているせいか、泣けてくるほどかっこいいのだ、いやそうでないわけがない。願わくば、もう少しだけ早く気づいて感慨深くテレビに映るおじさんを見たかったなと思うのです。つらつらと、マイケルジャクソンのシルク・ド・ソレイユ「IMMORTAL」開催を聞いて、ふと思ったのでした。


さて、ということで今日はどのマイルスに身を任せましょうか。


2011年11月27日
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