7F「NEWS&MAGAZINE」 
ここでは7Fだけのお得な情報、イベント情報、音楽、AUDIOに関わる全ての、
とにかく話題満載でお知らせするコーナーです。じっくり楽しんで下さい。

LUXMAN B-1000f



LUXMANとはやはり「真面目な製品」です。80年の歴史を頑固にも守り続ける日本のオーディオブランドとして、また数々の名機を世に産み落としてきた老舗として、守るべきものは守る。

このLUXMANのフラッグシップは既に発表、発売からは時間が経っていますがこんなにじっくり腰を据えて聴いたのは今回が始めてでしたのでちょっと感想を書いてみようと思ったのです。10年前に送り出した当時のフラッグシップ「B-10」を大幅に越える製品として、また「思う存分」に経験、知識、気持ちを詰め込んだ塊として今回のB-1000fはあるのであって、その佇まいたるや見ているだけでも腰が痛くなってきます。「オーディオとは趣味」と胸を張って言い切るのだからそれもうなずけるとしても、さすがにここまでの物量ともなると製品の後ろでニヤニヤする製作陣の方々が浮かんでくるようです。どちらかというとプリ「C-1000f」よりもこちらの方に気が惹かれていたのでプリ、パワーセットで試聴したものの、最終的にはB-1000fを中心にプリを色々変えるといった具合にパワーの素性を覗き込んでしまう時間に殆どを費やしたのです。

この型式に限っては「ラックストーン」と言われるブランドイメージは捨てた方が良いかも知れません、いやこう言ってしまうといけないのかも知れませんが今まで「もうちょっとパンチがあってもいいかな」と思っていたのです、間違いのないように言うとそれがLUXMANのコンセプトであり非常に良いところであるというのは重々承知の上で、それでも人はわがままを言いたくなるのです。無い物ねだりをするのはこの業界の得意技で、しかも良いところが目立つ所謂「良く出来た製品」には余計に厳しく言ってみたりもするのですから作り手としてはあれこれ言われてたまったものではないでしょう。私もその無い物ねだりをする(軟弱な)1人でしたが、今回これを聴いてみていやちょっと頭が下がりました。ベイシーのホーンセクションが「飛んできた」のです、パンチ力とかをつべこべ欲していた私には十分過ぎる一発をほんの数分で頂いてしまったのですがそれもセッティングしたばかりのほんの数分でしたからそうもなります。一人一人が相当な「暴れん坊」のくせにちゃっかりベイシーのもとでは「一致団結」してしまうとんでもない人達の、なかでもホーンセクションは花形ですがそれが結構痛い程に飛んでくるから凄いものです。気を良くしてJimmy Smithのオルガンやしびれる程ブルージーでファンキーなB.B.King、マイルスのトランペットやシューベルトの「未完成」からチャイコフスキーの5番、それから無伴奏までどれをあれこれかけても動じないのです。むしろ底が見えないくらいでまだまだ鳴るんだ、と一曲終わるごとにアンプを眺めては近くに寄ってみたりもしました。程よく温かく、伸びやかで、それでも恐ろし程に底から手を伸ばしてくる余裕と豊かさは聴く側に隙をつくりません、「程よく」という言葉がこの業界にあっていかに大切で難しくてアバウトな言葉かということはこれを読む皆さんであれば耳が痛い程お分かりかとは思いますが、この1番「かゆいところ」に手を伸ばせるのも同じ日本人だからできる技であることは、いやとっくの昔からLUXMANはやって来ていた訳ですが、またここへきてその「かゆいところ」に手を伸ばしてなお「やりたい放題」にやってしまったのです。良いアンプだなあ、と小声で勝手に何度もぶつぶつ言っていたのもそう言う事なのかも知れません。80年という歴史が作り出したものは技術、経験、もさることながら「程よい」という1番磨きにくい、それでいて1番聴く人間にとって訴える温度の高い部分の分量を見つけ出した事なのかも知れませんね。

LUXMAN B-1000f 定価\3,780,000(ペア) C-1000f 定価\2,100,000
2008年5月23日現在
上記内容へのお問い合わせは柴田までお願い致します。




目次に戻る